オリンピックの柔道で、銅メダルを取ったのに喜ばないのはよくないという雰囲気がある。インタビュアーたちも皆「おめでとうございます」「胸を張って日本に帰ってきてください」と声をかける。しかし選手たちは、本当に「おめでとう」と言ってもらいたいだろうか。胸を張る気持ちになれるだろうか。私には、それらの言葉は選手たちにとって屈辱にしかならないのではないかと思う。
柔道男子の元監督だった篠原信一氏は「私は、選手が金メダルのために４年、８年とかけて頑張っている姿を見ている。“お疲れさまでした”は言えても、どうしても“おめでとう”とは言えない」と話していた。
もちろん、競技によっては銅メダルを取ってとても喜んでいる選手もいるだろう。だからアナウンサーや芸能人など選手にインタビューをする人達は、それぞれの選手の実力や立場を事前によく調べ、個々の選手の気持ちを察し、その上で声掛けや質問をすることが求められると思う。「メダル＝おめでとう」では、あまりにも短絡的で思慮がなさすぎる。