お笑いコンビ「極楽とんぼ」の山本氏が、10年ぶりにめちゃイケに出演し、相方の加藤氏からかなり強い口調で怒られていた。まだ怒っている視聴者以上に仲間が怒ってみせることで、今まで怒っていた視聴者に「まあまあ」と止めさせるというコントはよくあるものだ。たしか、東京03もそのようなコントをよくやって、会場を沸かせている。

 しかし、先日の番組はギャグとして扱ってはおらず、視聴者に本当にそう思わせようとする幼稚で悪意のあるものだった。レギュラー陣たちも涙を流していた。もちろん感動の涙などではなく、加藤氏の迫力に押されての錯覚の涙だ。絵に描いたような茶番劇だった。私は恥ずかしくなって見ていられなくなり、途中でテレビのスイッチを切った。視聴者も安っぽい茶番劇を見せられて怒っているだろうと思っていた。

 ところが、ネット上では「すばらしかった」「私も泣いた」「感動した」という称賛の嵐だったという。テレビ局、というかお笑い陣達の思うつぼではないか。芸能人が社会に与える影響は大きい。普通の会社員や自営業の仕事とは違う。あのような犯罪を犯し、この10年間の彼の行動を見ると、やはり芸能界に戻るのはやめたほうが良い。違う仕事も「頑張ろう」と思えばたくさんあるはずだ。山本氏の取り巻き達は、彼の芸能界復帰を応援するのではなく、違う仕事でまじめに地道に最後までがんばるように応援したほうがよく、それが本当の仲間だと思う。

「日本には徴兵制がなく、いい国だ」と若者は言う。しかし、徴兵制があってもなくても実際は関係がない。ひとたび大きな戦争が起こると、徴兵制を行うように法律はすぐに変わるだろうし、「よし、俺も戦争に行って相手をやっつけるぞ!」と国民に思わせることが1週間ほどできるとのことだ。1日目はニュースで相手国に関する嘘の情報を流し、2日目に・・・と、国民を洗脳していくプログラムがあるという。これは、作家だった小田実氏から直接聞いた話で、自分の教え子がそれを作る作業にかかわっていると話していた。

 今回山本氏の復帰劇と視聴者の反応を見て、人の気持ちというものは、あっという間にどうにでも変わってしまうものなのだなあと改めて思いしらされた。