障害者施設で殺人事件が起きた。重複障害者ばかりを狙ったとのことだ。障害者施設では、徘徊しないように部屋に鍵をかけたり、ベルトでベッドにつなぎとめたりして、ただ生かされているだけの人々もいる。意思の疎通ができない人もたくさんいる。命は大事だといわれる。私も漠然とはそう思うが、世間が命についてあいまいにしている点、議論そのものをタブー視している点がたくさんあるのも事実だろう。逃げずにきちんと議論をして法的に決めたほうが良いと思う。
軽度の障害者と重度や重複の障害者を同レベルで(ひとくくりにして)論じてよいのか、施設においてベルトでずっとつないでおくなど牢屋で一生過ごすよりひどい生かされ方をしている人々の尊厳死を許してはいけないか、重度の障害を持って生まれた赤ちゃんの尊厳死をどう扱うか、生まれる前だったらおろしてよいか、ペットを虐待すると法的に罰せられるがはぐれた犬や猫を毎日大量に保健所で命を奪っていくことは許されるのか等々、我々がごまかさずに「命」というものについて冷静に矛盾なく道徳的に考えなければいけないことがたくさんある。
人は戦争と称して何の罪もない健常者の命の奪い合いを法的に認めている。日本には死刑制度もある。都合の良いように、「命を奪う=悪いこと」と騒ぎ立てるのは、ちょっと短絡的すぎる。
もちろん今回の事件を起こした犯人は、現行法に違反した行為をしたので、法に照らして罰せられるしかない。もし法に異論があるならば、社会に矛盾を感じるならば、違法行為をすることなく法律や社会を変えていく別の努力をするしかない。今回の事件は、高齢化社会も迎える我々に大きな課題をつきつけてくれた。