万引き云々で自殺をした生徒の父親が,新聞社に手記を寄せた。その中に「進路において、不満や疑問を抱いている子が、気軽に相談できる窓口 が学校の中にあったら気持ちの逃げ場があるのではないかと思います。」とあった。
本来,子どもが何でも気軽に相談できる人は家族だと思う。それに進路となると子どもの将来のことやお金(授業料など)も関わってくることなので,じっくりと話し合うのは親の方が適切である。例えば私は高校を受験する時,普通科に行くのがいいか商業高校に行くのがいいか,担任に相談にはいかなかった。そんなことは担任が決められるようなことではないからだ。だから親と話し合い,大学まで行くならお金がかかるが普通科にしてもいいと言う結論になった。子どもの人生にかかわることやお金が絡むことなどを相談するのは,親じゃないと話が進まない。その上で,生徒が担任や保健室,進路指導担当教諭等に相談に来たら親身になって対応する。それが自然であり,効果的であろう。
自殺をした生徒の家庭は,子どもが自分の親に悩み事を相談できないほど,親子関係が希薄だったと思われる。この生徒も担任に対して「親が忙しくて話を聞いてくれない」と話している。前にも言ったように,どんなミスでも防ぐことはできない。どんなにチェックしても大学入試問題にも間違いはあるし,生徒指導記録なども間違いはある。ポイントはそこではなく,今回の一番の要因は親子関係(家庭の教育力)にあったように感じられるが,さらなる詳細な調査と分析が必要だ。
まずは,結論ありきで評論家やコメンテーターが担任を一番の悪者にし,それを聞いてそのように思い込んだ多くの市民の一人が自殺した生徒の担任の顔写真やネット上に流して攻撃するという非文明国家のようなことはやめたほうがよい。まさに魔女狩り(「無知による社会不安から発生した集団ヒステリー現象」)だ。