過去に万引きをしたので,学校推薦はできないと生徒に伝えていたが,その生徒がそれを苦に自殺をした。実際は,その生徒は万引きをしていなかった。その結果,学校のミスで生徒が自殺をした,学校が悪いと騒ぎになっている。

 この生徒と担任が立ち話で,5回ほど推薦について進路指導を行っていたとのことだ。その5回のやり取りの内容を見て思ったのは,このような残念な結果になったのは学校の悪意のある対応によるものではなく,生徒と学校側の「万引き」という言葉の解釈の違い,生徒と両親のやり取り(親が怒っていると生徒が話している)の2つが大きな原因のように感じた。もちろん万引きをしたと記録に書いたミスは学校にあるが,それは間違いだと生徒も親も指摘する機会がたくさんあったようにみえた。

 学校が悪いというコメンテーターの説明にも無理がある。結論ありきで,論理が破たんしているものばかりだ。同じミスを繰り返さないためには,どこに問題がったのか,きちんと検討する必要がある。まず初めに,家庭において生徒と両親の間でどのようなやり取りがあったのか,これが重要だ。学校と家庭の板挟みに追い込んだ直接的な原因は親の態度のような気がする。無知な商業コメンテーターによって社会が誘導されて「悪いのは学校」と決定したようなので,家庭内でのやり取りの調査は不可能であろう。しかし,教師であっても人間である以上必ずミスをし,人数やチェック体制でそれを補うことができない場合もあることは知っておいた方がよい。空港の管制室に管制官が何人もいて,その全員が同じ勘違いをして大きな事故が起きそうになったこともある。大事なのは,子どもが気持ちなどを自由に話せる家庭内と学校内の雰囲気づくり,これに尽きると思う。

 それから,親がかなり怒っているということを弁護士が繰り返し話していた。両親は相当怒っているようだ。自分たちに一切の責任が向かないようにしようという意識の表れのような感じもするが,このことを聞いて,地域の親たちが話し合って自分たちの思うような学校(高校に限るが)をつくっても面白いかなあと思った。教えたい勉強内容と生徒指導の内容,およびその指導方法を専門家と相談しながら作る。そしてその通りにやってくれる免許の持った教師を県費で雇う。子どもがどうなっても教師は一切責任を負わないこととする。どうだろう。自然と家庭教育を充実せざるを得なくなると思うし,学校に必死に協力をするようになって教育効果も格段に上がるような感じがする。