今テレビをみていたら,運動会で披露する組体操の危険性についてやっていた。組体操は正確にいうと,「組み立て体操」というらしい。日体大が大正時代に始めたが,その頃は日常から体を鍛えている人達しかやっていなかったとのことだ。現在,日体大で組み立て体操をおこなう場合は,危険性を考えて最高4段までにしているという。やはり運動が苦手だったり筋力がなかったりする子どもも含めて小学生全員に5段とか10段とかを強制的にやらせるのは犯罪に近いのかもしれない。

 私が,以前ある地域に移動した時,組体操が盛んに行われていて,10段をやっている学校などに研修に行かされたことがあった。10段をやるということで,地域では憧れの学校のような存在だった。しかし,私には危ないなあ,嫌だなあという思いがあった。体育の苦手な子にとってはいい迷惑だろうなあとも思った。実際私も自分の学校で4段の組体操をやることになり,怖くて仕方がなかった。練習ではけがをしたり,体の一部を痛めたり,上から落ちそうになったりして,その地域から早く出たいと思っていた。ある大学教授の試算では,10段をおこなった場合,一番下の子どもに最大で200㎏位の力がかかるという。全体のバランスの関係で瞬間的にそうなるのであろうが,それではそこから崩れて当然だ。それにやっている子ども自身や指導している教師たちにさえ全体の細かな力のバランスなどはわからない。子ども達は急に重く感じても耐えるしかないのだろう。組体操の大型化は都会に多いと思う(割合から見て)。地方のいくつかの運動会を見たことがあるが,組体操は扇や波程度の組み合わせで,危なくてもサボテンあたりまでだった。それでも音楽に合わせて素早く全体で演技をする様子を見て,かなり練習をしただろうなあ,一体感も感じられるだろうなあと思った。

 たしか東京都で,裸の変な人形を使って性教育をする授業が少し話題になったことがある。私はテレビでそれを見たのであるが,50歳位の男性教師がその人形を使って,気持ちの悪い劇のようなものをする授業だったと思う。当然広がりはしなかったが,効果や影響などを考えずに新しいことをして,最先端の授業だ,進んでいる学校だと勘違いをしている学校は多い。

 危険で大掛かりな組体操や変態的な性教育授業などは,関東などの大都市圏が多い。南九州や北東北の県から,とんでもない話は聞こえてこない。しかし,田舎だから学校も何もせずのんびりやっているからだろうと思うのは間違いである。秋田県など北東北の学力は全国的に見てとても高い。都会ではない地域の学校を何度も見に行った経験からいうと,北東北や南九州などは国立大学,関東や関西の学校は私立大学という感じだ。国立大学は目立つことを目的にするのではなく大地に根を下ろして慌てずさわがず着実にしっかりとした力をつけて行く研究肌,私立大学は本当の効果を目指すというよりはとりあえず新しいことをやって目立ちたい,名を売りたい,一発逆転を目指したいというイメージだ。都会の学校の教員は,もっと地方の学校に研修に行き,学んだほうがよいと思う。