産経新聞前ソウル支局長の判決公判で,おおかたの予想通り,無罪の判決が出された。でも,すべてが面白くない。

前支局長が公人である韓国大統領に対してこのようなうわさが韓国で起きているということを紹介した。このことに違いはないが,起訴され拘束された。これがアメリカ人やフランス人,中国人の記者であったら,起訴はされなかっただろう。起訴すると,それらの国からの批判がすごいとわかるからだ。日本に対しては,めちゃくちゃなことを言ってもやっても,日本は強い批判をしてこない。今回の裁判は正義云々ではなく,いつも通りの日本に対する嫉妬や恨みによるものだ(韓国人は,基本的に日本が地上からなくなればよいと思っている)。韓国だから,それはそれでいいのだが,今回は嫌なことが多すぎた。

日本政府は韓国政府に対し,両国の関係発展のために判決への配慮をお願いしてきた。司法の問題なのに日本政府が韓国政府にお願いしたり,韓国政府が裁判所にお願いしたりしている。これは日本政府も韓国政府も三権分立など嫌なことで,自分たちが一番上で,裁判所は黙って俺たちの言うことを聞いていればいいと思っていることの表れだ。

また,韓国は報道の自由がないと世界中から批判が出ているのに,当事者である日本だけが批判ではなくお願いをしている。事実上訴えた韓国政府に対して,「お願いだから無罪にして!」というのは,「前支局長が悪いけどなんとか頼む!」と言っているようなものだ。

それから前支局長本人であるが,彼は本当に怒っているのだろうか。判決後の記者会見でも,たどたどしくずっと紙を読み上げるだけだった。

日本政府のほうであるが,安倍総理は判決後に韓国政府への感謝ともとれることを述べていた。韓国は,日本だけを狙い撃ちにし,報道の自由や人権を無視し続けてきたのに・・・。韓国に対し,世界は許さなくても,日本だけは感謝するのか。馬鹿じゃないだろうか。日本も世界の国々と同じように韓国政府や韓国の検察に対して怒らなければ,日本も韓国と同じように報道の自由や人権についての意識が低い国だと世界中から受け取られるだろう。