レッテル好きの安倍氏が,「1億総活躍社会」というレッテルを掲げた。「夢のあるレッテルを笑顔で話せ」と,いつも後ろについている眼鏡をかけた人に言われたのだろうか。言うのは勝手だが,望みもなく無責任なことをどんどん言うものではない。
「全員が活躍する社会」とは,ゆとりを持って生活を楽しみながら生きたり,これまでと同じように生活したりしていても,自分が活躍できるようになるということではない。それなりのことをしてもらって,そういう社会をつくりたいという安倍さんの望みなのだろう。活躍するためのそれなりのこととは,現在社会で活躍している人々を見るとどうすればよいかがわかる。つまり,正規雇用者が馬車馬のように働くことだ。
安倍氏が非正規雇用や臨時採用という,労働者を犠牲にした雇用主優遇の仕組みを廃止するなどの制度面を改革していくのであれば賛成だが,おそらくそういうことではないだろう。それでは1億総安定にはなるが,総活躍にはならない。身分が保障されず(使い捨てにされ),安い給料で労働を強いられる非正規労働者は,働けば働くほど損をするだけである。だから,非正規雇用採用,臨時採用などの雇用主優遇制度をやめない限り(自分の意志でパートなどを希望するという「例外」の話ではない),そもそも全員が総活躍などできないし,正規雇用者ももっともっと働かなくてはならなくなる。家庭を今以上犠牲にしてまで…。
安倍氏の笑顔をニュースで見ていて思い出したが,憲法違反の恐れが高く,戦争に巻き込まれる可能性が格段に上がった安保法案は,いったいどうなったのだろうか。やったもの勝ちを許してはいけないと思う。マスコミの,騒ぐだけ騒いであとはまた別の盛り上がる話題をさがすという態度には不快感さえ覚える。全てを食べ荒らしては移動を続けるイナゴの大群と重なる。マスコミなんて,人や国のためになりたいという強い意志や自分たちの意見などはないのだろう。せめて,政府の広告係,意図的な世論操作係だけはやめてほしい。