NHKで,日航ジャンボ機が墜落してから救助までの状況について放送していた。まとめると,警察や自衛隊,アメリカ軍などが墜落場所の特定に全力を尽くしたが,情報の行き違いが原因で,翌朝まで墜落場所がわからなかったという内容だった。

 真相については,およそのことがネット上にあるのでここでは書かないが,NHKが何十年もたってからわざわざこのような「単なる情報の行き違いが原因だった」とする偽装番組を放送するのはよくない。現場に向かった警察や自衛隊の人々の証言はどれも「当時はそれしか方法がなかった,しかたがなかった」の繰り返しだったが,自衛隊のヘリが現場上空で灯台のようにライトをまわし,地上の警察などが2カ所からその明かりの方角を知らせれば,それで墜落場所は容易に特定できることだ。(2本の線が交わったところが墜落場所。実際には,ある部隊が到着していたのだが…)。何も知らされていない末端の人々の証言ではなく,当時の政府関係者の証言を放映すべきだったが,もちろんそんなことはできないので,そもそもこのような番組は成立しない。

「事故の救出を意図的に遅らせた動きがあったことも事実である」と真相を究明しているサイトにはあるが,NHKの番組はそれまでも否定する内容となってしまっていた。ジレンマの中での番組作りだったことは感じられたが,マイナスになるようなことをするくらいだったら,何もしないほうがよい。事故日を前にしての嫌な番組だった。