デフレからの脱却で最も大事な3本目の矢がうまく放てず,日本経済は株価の高騰と円安だけが進むという,おかしな状況に陥っている。そもそも3本目の矢である成長戦略ができれば,お金をばらまくという1本目と2本目の矢がなくとも日本経済は回復していく。1,2本目の矢と3本目の矢は別の次元の問題だ。お金のばらまきだけだったら,幼稚園児でも財務省の指示を受けて命令できたであろう。アベノミクスは,何ら効果的なことができずに失敗に終わった。国民生活は,変わらずに苦しい。だから,今回消費税を10パーセントにあげる決定も延期せざるを得なかった。あの安倍総理も延期を認めざるを得ないほど日本経済はまずいのだろう。
 その後の責任の取り方が,私にはよくわからない。安倍氏は経済を回復できず消費税を上げることを先送りしたことについて,民意を得るために衆議院を解散することにしたという。自分の能力の無さで消費税増税を延期し,その延期したことについてよかったか悪かったか国民に問うとは,いったいどういう論理なのだろうか。消費税増税を延期したことを問うのではなく,自分の無能さを問うのではないのだろうか。
 選挙活動では,自分の失策を隠すように「消費税増税を延期した判断はどうだったか,みなさん判断してください。」と,論理をすり替えて国民に訴え,また自民党が圧勝するのだろう。国民を煙に巻く総理も,茶番にだまされる国民も,どっちもどっちという感じである。