東電は今日,福一原発から毎日300トンの放射能汚染水が海に流出していたことを公表した。事故直後から今まで続いていたという。
 東電が嘘をついたり本当のことを隠したりするのはあたりまえであるが,なぜこの事実を専門家や政治家,マスコミなどが黙認していたのだろうか。知らなかったわけはない。
 それからもうひとつ,疑問の点がある。東電は一企業に過ぎず,自分たちの利益しか考えていない。それは会社として当然のことである。なぜ一つの会社が,国や日本国民のことなどに気を使う必要があるというのか。関係あるわけもない。それなのになぜ政治家は,すべての後処理を東電だけに任せようとするのだろうか。今回のように,嘘もつくし誠実な対応をするわけもない。それがわかっていて,なぜ国の運命を左右する事故処理を任せるのだろうか。
 もはやすべてが手遅れで,政治家たちが手を貸して関われば政治家たちの責任問題にもなってしまうから,東電任せにしているのだろうか。汚染水処理は行き詰っていて,高濃度汚染水も海に捨てるしかないという。ドロドロに溶け落ちて変形している(どのような形でどこにあるかもまだわからないのであるが)強い放射能の塊の取り出しなども不可能であろう。数時間で死亡するほどの放射線量が出ており,近づくことすらできない。遠隔操作の4足歩行のロボットもキャタピラロボットも,みんなひっくり返った。立ち上がることすらできない。太平洋沿岸の海底の放射線量を調べていた東大が,今日数値を発表していた。それらの放射能も汚染水流出で増える一方であり,そこで育ち生活している魚を食べている私たちの体に入る放射能の量も年々増えていることだろう。
 一体,東日本の土壌や空気中,飲料水(川や地下水),農水産物とその加工品の放射線量はどうなっているのだろうか。検査の実態はどうなっているのだろうか。そして福一の今後の見通しは…。何もわからない。
 もし一週間後に巨大な隕石が地球に衝突して地球が破滅するとわかった時,それが公表されることはない。どうしようもないことは,みんな知らないほうがよいに決まっている。福一事故による放射線被害の実態や原発処理の見通しについても,誰も何も知らないで皆が心静かに暮らしたほうがよいことなのだろうか。