山口のある村で,殺人・放火事件が起き,ようやく犯人が捕まった。テレビでは,犯人は挨拶をしなかった等という生き残った村民へのインタビューを繰り返し流していた。犯人は2人以上殺し放火もしたので極刑も考えられるが,はたしてそれでいいのかとも思う。なぜ彼は挨拶もしなかったのだろうか。十年ほど前に酒の席でけんかになって,今回の犯人が今回の被害者に刺されたという事件もあったという。村人たちがどのような人たちだったのかわからないところもある。
 犯人は多くの村人達から悪口を言われ孤立させられ,いわば村八分状態だった。悪口が先か,挨拶無視が先かは,鶏と卵のような話だろう。いづれにせよ,犯人を精神的に追い詰めて,今回のような事件を彼にやらせたのは周囲の村人であることは間違いない。確かにやったのは彼だ。しかし,だから彼は極刑だというのでは,どうも納得がいかない。学校において,集団で一人に対し,1年間悪口を言い続けたら,被害者の生徒は精神的に病んで棒で悪口を言い続けた人々をたたくかもしれない。そうなると,暴力をふるった被害者の生徒だけが捕まるのだろうか。言葉の暴力というのもあるはずだ。
 今回の山口の事件の犯人は,1年ではなく10年もの長きにわたって孤独だったという。犯人にも行きすぎた行動はあったにしても,10年間村人たちから陰口を言われ孤立させられるようないじめ(長期にわたる集団からのいやがらせ)を受けてきた現実も,今後の裁判では十分に考慮する必要があるだろう。マスコミも,執拗に一方的な報道をおこなって世論操作をすることが無いよう,今後の報道には気をつけてもらいたい。