大学の研究者が調査し,高い放射能が検出されていた東京湾の海底の土を国が初めて調査した結果,検出されなかったということだ。
 よく考えてもらいたいのだが,国が調査した約20か所ほどで放射能が検出されなかったから,東京湾の放射能は「安全である」と言えるだろうか。東京湾の海底には放射能がある場所もあれば無い場所もあり,無い場所が何ヶ所かあったから東京湾全体には放射能が無い,東京湾全体は安全だとはならないはずである。国が調査した20数カ所がたまたま放射能がない場所だったかもしれない。そもそも私は,国が放射能がなさそうな海底をあえて選んで調査したか,50か所位調査してから放射能が検出かれなかった20数カ所を公表しているか,あるいは数値そのものを操作していると思っている。
 この調査結果によって,東京湾で採れる魚介類は再び安全なものとして市場に普通に出回ることとなる。このまやかしは原発事故後ずっと続いている。先日,何匹かわからないが相馬沖のタコを検査した結果放射能が検出されなかったということで,東京市場にも流通が始まった。
 将来の原発依存度を決める聴取会がおこなわれている。しかしこれは結果ありきで,3つあった数値の中間になることに決まっている。ドイツのように原発ゼロを目指すことはない。公聴会は,「みんなで決定した」という言い訳や正当性がほしい国が,形式的にやっているに過ぎない。「反原発のデモの声には耳を傾けている」などと嘘ばかり話していた野田総理が昨日しぶしぶ形式的にデモの代表と会ったが,原発は稼働すると伝えただけであった。デモなど国には関係ないのである。
 国は放射能調査にしても公聴会にしても原発の再起動にしてもやりたい放題にやっている。本当のことを言うと,日本の政治家は,正義や民主,国民の健康や財産を守るといったことは,自分達のやりたいようにできなくなるから,大嫌いなのである。