大飯原発の安全性が様々な御用機関によって確認され,次に素人知事が直々に原発へ出向いて確認し,最後は総理が判断を下して再稼働となるらしい。これほど確認されて大丈夫なのであれば,もう事故が起きても対策は十分なされているのだろう。
ところが,今朝のNHKのニュースで大飯原発がどのようになっているか紹介されていた。それによると,
①福島原発にあったような,事故の対応基地となる免震重要棟がない。
②ベント施設にフィルターがない。
③高い津波に備えた堤防がない。
④ストレステストの結果が出ていない。
ということだった。
政府は全国から有名な祈祷師200人を集めて,大飯原発でお祈りをするという。どうか地震や事故が起きませんように!とでもお祈りをするつもりか。設備や対策などの現実的技術的な問題はまったく不十分なままで,「神様お助けを」とお祈りで乗り切ろうとは,一国の政府のやることとは到底思えない。信じられない限りである。野田総理は,他の原発について「今後も丁寧に判断」し順次稼働していくとのことだ。
めちゃくちゃなことが,嘘や詭弁,ごまかしで何でもすんなり通っていく日本の政治がとても怖い。嘘をつくことは恥ずかしいことであり悪いことであると思っていた。うそつきは泥棒の始まりということわざもある。小学生でさえ,嘘を堂々とは言えない。政治家のおじさんたちは,テレビの前で「安全性が確認された」などということが恥ずかしくなかったのだろうか。嘘をつく罪悪感はなかったのだろうか。
野田総理ではなく,菅前総理であったら…,と悔やまれる。私は,事故後の対応や今後のエネルギー政策の考え方などについて,菅氏は適切であると認識している。ビクビクしながら逃げ続けた東電を一喝することで収束にむけて動かし,関東を壊滅させる可能性のあった静岡の浜岡原発をすぐに停止させた菅氏こそが,この国の救世主である。その菅氏を総理から引きずりおろそうと声を上げた国民の皆々様が,結果的に大飯原発を再稼働させたのだと思う(菅氏なら間違っても再稼働はさせず,節電を何度もお願いし,火力発電を臨時的に造ってきたと思われる)。当然,大飯が事故を起こしたら,その責任も皆々様である。
新興宗教の呪文のような例の言葉が,地鳴りのようにじわじわと歩み寄ってくる。「安全,安心,大丈夫♪」「安全,安心,大丈夫♪」「安全,安心,大丈夫♪」。
政治家や自治体の長をはじめ日本国民の多くは,大量の放射能を浴びてもいいから経済大国1位を目指して働き続けたいと,心の底では思っているのだろう(建前として「原発は危険だ,止めたほうがよい」と一応言うだろうが)。私の価値基準に照らすと,このような人々を馬鹿と言う。
民主党は順次原発を稼働させていくという。自民党は政権を取ることが第一の目的である。日本を安全で住みよい国にするために政治をおこなう現実政党は現在日本にはない。衆議院解散という声を聞くようになったが,選挙をされても投票するところがなければどうすればよいのか。