ある大手新聞社の編集長が電車内で痴漢をして逮捕された。NHKの全国ニュースでは,「容疑者は酔っていて覚えていないと話し,容疑を否認している」と報じていた。この編集長は,容疑を否認しているだろうか。酔っていて覚えておらず,容認も否認もできないとしか読み取れない。「酔っていておぼえていない,わからない」ということと,「否認」ということは,その人の悪意に大きくかかわる重要な違いである。
 このように,わずかずつ表現を変えながら視聴者に感づかれないように事実をゆがめ,嘘や異なったイメージを国民に持たせていくマスコミには大きな怒りを覚える。もしこの原稿を書いたNHKの人に悪意はなく単なる能力がなかったのであれば,国民へのメッセージとなる原稿を二度と書くべきではないだろう。