福島第一原発がメルトスルーして間もなく1年がたつ。去年の秋頃,格納容器の下にあるコンクリートの途中まで核燃料が侵食しているが突き破ってはいないという発表があった(もしコンクリートを突き破って下の土まで達していたとしても,「溶けた核燃料はコンクリートを突き破って現在地面や地下水に達しています」などと発表することは100%無いのだが)。仮にそれが事実だとしても,その時に発表されたものは1~4号機すべてについてのことではない。まだ突き破っていない物だけの発表だったのかもしれない。
 昨年の夏頃,福島原発の敷地内の地面から水蒸気が上がったことがあった。核燃料が地下水と接したのではないかという心配がなされたが,調査報告や原因の発表はなかった。危険なことについては,「わからなかった。引き続き調査をする」との言葉を用いるのだろう。私が政治家や保安院であったとしたら,たしかにこの言葉を国民に言う。
 最近は改善された部分だけの発表やごくわずかな水漏れなどの発表ばかりで,危険なことや手が付けられないことについては知らん顔をしているように感じられる(汚染水の放射能所装置のホースから1ℓばかりの水が漏れたということを誠実ぶって発表していた日に,数か月前にもんじゅの制御棒がモーターの不具合で動かせなくなっていたことを隠していた事実が明らかになった)。
 現在私が心配なのは地下水である。調査をしないで地下水は汚染されていない,いやされているなどと言い合っても,それは遊びに過ぎない。まずは地下水の放射能汚染の現状を調査しなければならない。地下水を使った商品は,お酒やペットボトル,調味料や缶詰などたくさんある。もう1年がたとうとしているのに地下水の調査が行われず,それに対してマスコミも国民も何も言わない。私が寝ている間に,テレビなどを通じて政府から地下水に関して何か発表があったのだろうか。