福島のある地域の米から国の規制値を超えるセシウムが検出されて出荷停止となった。なぜそうなったのか不思議に思いながらこのニュースを聞いた。
 以前自治体が予備検査をして国の規制値と同等のセシウムが検出された後は,米の検査は一括して国が行う(一括して検査結果を操作する)ことになっていた。だから国の規制値を超える検査結果が出るはずなど絶対にないのだ。
 よくよく聞いてみると,その検査結果というのはその地域のある農家が,「家族で食べるから安心したい」と個人的にJAに持ち込んで自主検査をし,そこから公になってしまったもののようだ。出荷しておいて自分たちが食べる分は心配だから検査をしてくれというこの農家の言いぶんも笑い話のようだが,とにかくこの地域の米は計142トンで,最大1270ベクレルのセシウムが検出され,結果的にこの地域の米は出荷停止となった。この農家のおかげで,142トンの高濃度汚染米の流通を阻止できた。国は勝手に検査をしてしまったこの農家に対しに怒り心頭のことであろう。
 我々国民は,もうすでに高濃度汚染米をおそらくどこかで食べているのだろう。そして今後も…。汚染されたコメの流通を止める行政機関も専門機関も研究機関ももはや日本には存在しない。最近,国家や行政の在り方,人権や自由など,根本的なことについて深く考えさせられる機会が多くなってきた。