南相馬市の乳幼児の尿を検査を行い,7%の子どもから放射性セシウムが検出された。『健康に影響が出るような内部被ばくはなかった』ということだ。「健康に影響が出る値ではない」。だから安全なのか。
 健康に影響がでない程度のセシウムなら摂取しても問題ないという論理なら,全国の乳幼児や小学生にその値のセシウムを予防注射のように強制的に与えても危険性はないことになる。1度やってみてはどうだろうか。健康に影響がないのだからいいだろう。
 冷静に考えればこの論理は適切ではないのである。国の影響下にない本物の研究者たちは,受けてもよい放射能などはゼロであるという。できるだけ浴びる放射能を少なくすることが重要と話す。体内にセシウムが沈着している乳幼児たちは,それ以外にも今後地面や宇宙などから自然放射線を浴びていく。食物や汚染された地表の放射能も浴びながら育っていくのだろう。トータルで考えると,わずかといえども数十年にわたって常時浴び続けなければならないセシウムを体内に持っておくことは避けたほうがよい。体内にセシウムがないことが,その人が1日や1年で浴びるトータルの放射線量を減らすことになる。体内のセシウム自体が少ないからそれだけでは健康に影響がなく大丈夫だ!とはならない。その放射線数値だけを取り上げて「健康に影響が出る値ではない」「安全,安心,大丈夫!」「まったく問題ない」ではないのである。