放射能が土壌から農産物に移る割合を移行係数と呼ぶそうだ。農水省はセシウムの米への移行係数を0.1(米のセシウム濃度が土壌の濃度の10分の1)と発表していた。そして米が暫定基準値を超えないようにするため、土壌が5000ベクレルを超えた農地での作付けを禁止していた。この農水省の意向係数が正しい,間違のない者として,多くの学者たちは「今つくられている米は安全だ」「規制値を超えるものは流通しない」と宣伝してきた。しかし実際は移行係数を超えて,国の規制値と同じ濃度のセシウムが新米から検出された。
 学者たちはウソを流布し続けた責任を取らなければならない。責任を取るということは,これまでウソの情報を広めてきた時間と同じ時間をかけて,間違いだったという訂正とおわびをして,国民が現在持っている認識を訂正していかなければいけない。おそらく関係した学者たちは知らん顔をして,今後は息をひそめて大学の授業に専念するのだろう。学者としての能力も責任感もない人でも,日本では論文が何本かあれば学者として大学で研究をしたり学生に教えたりできる。何と低次元で情けない国なのか。
 新米から高い放射能が検出されたとき,検査をしたのは地方の行政機関であった。検査結果を聞いた農水所は驚き,再び検査をさせた。そしてダメ押しで再び同じ値が出た。これを受けて,まだ事実としてつかめていないが,どうやら新米の放射線量検査は今後国が直接おこなう動きが出てきてるようだ。なぜそうするのかは,言わずもがなであろう。今後調査をしてそれが事実か確かめる必要があるが,もし本当であれば,国の示す暫定規制値,放射線量の調査方法や結果はすべて信じられなくなる(個人的にはすでに国の言うことはほとんどが嘘だと思っているのだが)。