ニュースで中継を見ていると,「3時ごろに会社から帰っていいと言われて駅に来たが,すでに運休となっていた。これなら会社にいるんだった」という声が圧倒的に多い。全線運休の大きな駅はどこも人であふれかえっている。
 朝からニュースや天気予報を見ていると,台風はお昼過ぎに静岡に上陸,関東に近づくのはそれから数時間後という予想だった。あなたが社長だったら,社員をどのようにするだろう。私だったら,午後3時まで待ってから社員を外に放り出すことだけはしない。お昼ごろに帰すか,台風が過ぎて交通機関がスムーズに動き出すまで会社で待機をさせるか,あるいは会社や近くのホテルに泊まるように準備をさせる(もちろん帰る手段のある人はお昼以降は勤務を自由にする)。しかしどうやら多くの会社では,ものすごい強風が吹き始めた午後3時ごろに帰宅をさせたようだ。最も危険な時間帯を狙い撃ちして社員を帰すとは,私には理解できない。
 台風=社員を少し早く返そう,という感覚的な気持ちが頭をよぎり,後先考えずに「もう帰宅しろ~」と幹部や上司が叫んだのだろう。本当に頭が悪く愚かな人々だと思う。これを変えなければ,災害時にすぐターミナル駅が帰宅困難者であふれかえるという状態はなくならない。
 東京電力の対応でもあきれ果てたが,どうも企業というものは1つの思いつき,1つの情報だけにとらわれて結果的に最も悪い方法を正確に選んで実行に移しているように見えるのである。もちろんわざとでないことはわかる。でもそうであれば役職者の能力に問題アリということだ。会社のオヤジたちは過去に学び,もう少しいろいろなことを考えて行動をしていかなければならない。