鉢呂経産大臣が福島第一原発の周辺の町を「市街地は人っ子一人いない、まさに死の町という形だった」と話したことについて非難が集中し,結局撤回して謝罪した。非難するのも撤回するのも,まして謝罪などおかしなことだ。
「死の町」というのは,鉢呂氏が現場を見ての率直な感想であっただろうし,実際死の町になっているはずである。町というのは人が存在し社会生活が営まれている所である。現在,家並みが存在しているのに人っ子一人いない町を,町として死んでいると表現するのは適切である。大臣には悪意もないだろうし,聞いている私にも違和感はない。
 大切なことは,死の町にされてしまったのに「死の町ではない」と言ったり,野菜や土壌から放射能が検出されているのに「安全だ」と言ったりして,ごまかすことで自分の心を慰めたり問題を先送りにしたりすることではない。「死の町」にされてしまった原発周辺の町を今すぐ徹底的に除染するようにみんなで政府に訴え続けることであり,農産物の詳細で継続的な放射能検査を政府がやり続けるように求めていくことである。
 今回,「死の町」発言をした鉢呂大臣を非難していた人々は,非難をする対象も要求する内容も的外れである。鉢呂大臣には発言を撤回するのではなくて「死の町を今すぐ元に戻すためのあらゆることをすべきだ!」と内閣内で言い続けてもらいたい。野党議員も「鉢呂大臣は辞任しろ」ではなく,もっとまじめに福島の復興に取り組む必要がある。野党は鉢呂氏問題をこれから始まる国会で徹底的に追求していくとも言っているが,また復興に関係のないことを延々と繰り返して復興を遅らせるというのか。東北の人々も針呂大臣に文句を言うのではなく,適切な発言を問題化して復興を遅らせる努力をしている政権奪回しか頭にない野党に対して怒りをぶつけるべきではないだろうか。原発周辺に住んでいた人々も,死の町にされたことをもっと怒れ!。もちろん鉢呂大臣などにではない。
 野党議員は立場上意図的に騒ぎを大きくしようとしてるが,それ以外の国民やマスコミ,福島の人々は冷静に状況を見て行動をしていくことを望む。

(以上の記事は鉢呂氏が経産大臣を辞任する前に書いて載せていた記事ですが,誤って削除をしてしまい読めなくなっていました。先ほど,キャッシュを見たら残っていたのでコピーをして再び掲載しました。)


<辞任後の11日に追加>
 そうこうしているうちに,オフレコで「放射能をつけるぞ」といったような内容の発言をし,結局辞任した。これは幼い発言であるが,たった一言で大臣を辞める辞めないの話につなげる必要はない。本来の仕事をおろそかにしてどうしても一生懸命に取り組まないというなら辞任の話が出るのも分かるが,悪いジョークや下品な行動1つでいちいち辞任をするような国だから総理もコロコロ変わるのである。オフレコだから何もしなくていいと思うが,記者が広めてしまった以上は「福島の人に対して失礼をした」の謝罪の一言で済む話である。というか,済ませなければならない話である。そうしないとしょっちゅう政治は停滞するし,政府は混乱するし,ひいては日本社会が混とんとしていく。
 仕事をしっかりして結果を出していくことが大事だ。震災の復興を適切かつスピーディーに行い,経済を再生させ,社会を改善していってくれれば,大臣が風俗に行こうと,浮気をしていようと,誰かを冷やかすようなオヤジギャグを言おうと,国民にとってはどうでもよいのである。