今回の台風で,現在までに死者が8人,行方不明者が33人(9月6日追記:死者48人、行方不明者57人)となった。これらの人々の多くは,家が流されたり土砂崩れで家が押しつぶされたりしての犠牲者のようである。
 私は,この亡くなったり行方不明となってしまっているのは,避難命令を出さなかったか出すのが遅れてしまった行政側による犯罪であると思っている。もし土砂崩れが起きたら家がつぶれるようなところにある住民については,土砂崩れが起きるか起きないか事前にわからない以上,行政は大雨を確認したり危険が迫る以前に避難をさせるべきであった。あるTV局のレポーターは,この地区の川は台風が来る2日も前から徐々に川の水位が高くなってきたと報告していた。オバマ大統領はハリケーンが来る2日前からニューヨーク市民に今すぐ避難するように呼びかけた。被害はそれほどでもなかったが,ニューヨーク市民は大統領に感謝したそうだ。防災,危機管理とはこういうことなのである。住民の一人は,「避難命令が出たので荷物をまとめて外に出ようとしたら水が来ていて出られなかった」と話す。多くの犠牲者が自治体によって殺されたと私は思う。危険が迫るまで避難命令を出さなかった対象地域の自治体は殺人罪で罰せられるべきである(避難命令を出したにもかかわらず家に残っていたとしたら,それはその家の人の自己責任であるが)。
 無知や無能の人がリーダーや管理者になることは罪である。日本では無能(や能力不足)が引き起こす犠牲は仕方がないものとして許されるがそれは間違いであると,東電や保安院,菅前総理を見ていても強くそう感じるのである。たとえ田舎の小さな町役場でも,職員はどのような状況においても的確に判断し行動できる高度な能力を持った人がなるべきであり(現実にはそのような人は一人も役場職員になっていないと想像される),危機管理や地方自治を学ばせるために日常から積極的に外国に職員を派遣して研修を行うべきである。数百人~数万人の命を預かっているのだから,少なくとも新幹線の運転手やジャンボジェットのパイロットより高度な責任感と能力,そして職員に対する通常訓練や職員の厳格な管理が求められて当然であろう。