福島第1原発でこのほど観測した結果,放射性物質の放出量が毎時約2億ベクレルで、被ばく線量は最大年0.4ミリシーベルトになることを公表した。事故直後(3月15日)の放出量の1000万分の1に相当するとしている。安全になったので安心してくださいということなのだろう。
 私はこれを聞いて,安心するどころか3月に年0.4ミリシーベルトの1000万倍の放射能が出ていたことに驚いた。3月15日といえば,強風が南南東(関東地方)に向かって吹いていたあの日である。どうするのだろうか。
 危険な時は何も知らせず,日がたって落ち着いた頃に,以前はこうだったが今はこのように良くなったという。悪かった時,放射能にしても農産物にしても,必要以上に被害をこうむるのはいつも国民である。その時に教えてくれていれば,ある程度は自衛できたのに。ある個人のブログを見ていたら,3月15日に関東で何時間もサイクリングをしてしまったと泣いていた人もいた。
 しかし国民は忘れっぽいうえに論理に無頓着である。今回いかに多くの放射能が3月15日に関東に降り注いだのか公表されたというのに,国民は「あ~,0.4でよかった」と思うのだろう。これが政府や東電のやり方だ。東日本の土壌や街のアスファルトなどに現在張りついている大量のセシウムは何十年間も放射能を出し続けるのである。
 ちなみに私は国が安全だと定めている土壌や農作物などの暫定基準値の安全性や,国や地方自治体が行っている放射線量の調査方法を信用していない(だからヨウ素やセシウムの値も実態を反映していないと思っているし,この2つ以外の放射能核種に至っては検査さえなされていない。それはなぜか皆さんにも考えてもらいたい)。