能力のないものは中心となるな。

　３月に２回，東日本の国土に広く大量に放射能が降ったことがあった。未だに検出される福島以外の東京や神奈川，栃木などの放射能の多くはその時のものとされている。その時，岩手の南部の一関あたりにも降ってしまった。しかし陸前高田はプルームが通過しなかった。今回陸前高田の薪から放射能が検出されたのは，いまだに福島原発から常時出ている放射能が降ったものだろう。そのような微量の放射能汚染は日本全体に及ぶ。名古屋の茶葉や遠くは佐賀の松葉からも検出されている。
　高田松原の被災者たちが心を込めて願いを書いた薪はかんなで削ったきれいなもので，樹皮は付いていなかった。しかし，慌ててかき集めて無理に京都に運んだ薪は写真を見ると樹皮がついているようだった。セシウムが検出される可能性は高い。そんなことはわかっていることだ。あらためて全国に高田松原の木はセシウムがついていたとわざわざ公表せざるをえなくなるようなこと，つまりあらためて別の薪を京都に運ぶことは間違いではなかっただろうか。樹皮にセシウムがついている木など，東京にも北海道にも愛知にも佐賀にもあろう。高田松原だけを目立つようにつるし上げるような必要はなかった。
　今回，どの県もそうなのであるにもかかわらず，岩手はセシウムで汚染されていると全国の人に印象付けてしまう結果となった。だから，改めて薪を運ぶ前に京都は復興の真似事からもう手を引いたほうがよいとこのブログで言ったはずだ。とはいっても誰もこのブログを見てはいないのであろうが…。
　今回の件では，東北のこと（人々の性格やコミュニティーの様子，被災の様子など）を詳しくわからない西日本のアーティストやNPOなどが思いつきでやったり支援をしたりしていたようだ。最後の最後まで徹底して行う責任感や力，そして行政的な権力は素人にない。悪意はなく善意で何かしようと思ったのであろうが，素人が思いつきで行動をするとこうなるのである。もしやるなら行政に働きかけ，行政同士がきちんと話し合ったり話をつめたりしていくべきであった。