停止中の原発の再稼働に向け,市民に安心してもらうためにストレステストを行うことを経産大臣が発表した。
「安心してもらうため」って,結果はすでに分かっているのか。確かに結果は決まっているのだろう。ストレステストの結果,再稼働を延期するとなるはずはない。再稼働が難しいような結果が出たとしても偽装するか隠すか嘘を言うだろう。
 ストレステストをやった後に再稼働するくらいなら,やらないで再稼働したほうがまだ誠実さが伝わる。国民を馬鹿にするのもいい加減にしてもらいたい。

 ストレステストなどと日本ではまだめずらしいものを持ってきて煙に巻くという戦法だろう。そもそもストレステストなどたいしたことはない。最優先される要素などではまったくない。物事を決める時には考えなければならない要素がたくさんあり,バランス,長期的展望,優先順位など総合的な熟慮や判断が必要だ。根本的なことを言うと,そのテストはどこに所属している人が行うのか,依頼者とテストを行う人の間に利害関係はまったくないのか,テスト項目はどういう意図でだれが決めるのか,そして数値の偽装は絶対にしないと言い切れるのかといった問題もある。とにかく,たった一つのストレステストで局所的な正しさ,合理性などを主張し,全体としての結論にまでしてしまおうとはあまりにもふざけているか能力がなさすぎる。これでは何度でも同じ失敗を繰り返すだろう。
 原発に限らず,ストレステストをやろうという人はすでに結論を持っているものである。すでに存在する結論を正当化するためにテストを行うに過ぎない。私は,ストレステストをしようとする日本人のほとんどは,相手を欺こうとする悪い人だと決めている。