塵(ちり)についた放射性物質は,風が吹けば当然舞い上がる。特に強い風が吹いていなくても,普通に地面から土ぼこりは上がっていて,人々はそれらを衣服や髪の毛につけ,呼吸によって体の中に入れている。現在関東は地表から1mの高さでおよそ0.1~0.8マイクロシーベルト/時位であろう。発災前に比べるとかなり高い値だ。東京や神奈川,千葉でもマスクをしたほうがよいことに異論はないだろう。しかし,ほとんどの人はマスクをやっていない。やりたいと思っている人でもできないそうだ。マスクをしたくても,周囲から「みんなで(マスクをしないで)がんばっているのに!」とか,「なんで危険をあおるんだ!」と思われて白い目で見られるとの悩みがネットの掲示板に書き込まれていた。がんばり方が違うだろう。とにかく関東はこれまでとは明らかに異なる雰囲気のようだ。
 これは,関東が放射能も社会も危険なレベルになってきていることの表れ(人々の焦り)のように私には感じられる。この状況を打破するためには,やはり空間放射能,土壌,地下水,上水,下水,農産物,海産物などの正確で詳細な放射能検査(国が一切かかわらない研究者による検査)を定期的に行うしかない。このままだとどんどん憶測や不信が広がってしまい,人間関係において疑心暗鬼や攻撃が蔓延してしまう。最悪の場合,日本人の宝である高い道徳心と秩序までもが崩壊しかねない。