内閣不信任決議案が否決された。本会議の数時間前に行われた鳩山氏との会談において,菅氏が原発事故に関する自分の仕事にめどがついたら辞任すると発言し,それによって鳩山氏が翻ったからだ。
 菅氏はめどがつくのはいつなのか明言をしなかったのだが,鳩山氏は記者の質問に対してそれは6月中だと述べた。鳩山氏の思い込みの強さは相変わらず健在だ。何の保証があって6月などと言えるのだろう。沖縄の米軍基地移転問題の際に,自分の思い込みはとんでもないことを学習したはずではなかったのか。
 原点に戻って考えてみよう。なぜ自民も民主も国民も菅総理の退陣を望んでいたのかというと,原発事故の初期の対応や地震の被災者への生活援助(仮設住宅など),がれき等への対応の遅さ,子どもに年20ミリシーベルトまで放射能を浴びさせてもよいとした後になかなかそれを撤回しなかったこと,大事なことを一人で場当たり的に決めた後に撤回や反省ばかりしている総理としての資質などが原因であったはずだ。仮にあと1ヶ月後に菅総理が辞任をするとしても,これから1ヶ月間の対応(土壌処理や原発の安定,海産物や農作物の放射能対応,国民の日常の被ばく予防,被災地の長期復興計画など)は,今後20年以上の日本を左右するとても重要な時期である。菅氏にめどが立つまでやらせたらまずいからみんなで退陣要求をしていたのではなかったのだろうか。極論すれば,めどが立つまでの重要な時期に能力のある他の人に総理をやってもらい,ある程度めどがついてさほど重要なことがなくなったらまた菅氏に総理をやってもらってもよいという話ではないのだろうか。