私はいわゆる「田舎」が好きである。稲穂を渡る風の匂い,小川で冷やしたスイカ,カブトムシ探し,どれも大好きだ。車の渋滞もなく,車で数十分の所には東京にもあまり無いような大きさの郊外型巨大ショッピングセンターがいくつもある。最新設備の整った大きな総合病院も多く健康に不安はない。もちろんそこに住む人々も思いやりのある親切な人が多い。暴力団や迷惑をかけるような怪しい団体などもいない。車の騒音や排気ガスのない自然豊かな所で,鳥の鳴き声を聞いたり草花や山菜を積みながら散歩をしたりして暮らしたいと思う。
 しかし,よいところばかりではない。どうしても好きになれない部分もある。それは行政や地元企業の殿様意識である。例えば、県や市町村にメールで問い合わせをしても自分たちが都合の悪いことであれば回答せずに無視を決めこむ。大手地方銀行による反対のために、県内のローソンには去年まで銀行ATMがなかった。全国のほとんどの都道府県のローソンにATMが設置されてから数年を経て,ようやくその大手地方銀行もローソンでのATM設置をしぶしぶ認めた具合だ。
 田舎が馬鹿にされ嫌われの対象になる原因は,自然の豊かさやそこに住む人々にあるのではなく,保守的で殿様意識の地方公務員と地元企業にあるのではないだろうか。行政や大手企業のサービスやしくみ,職員などの態度が昭和の古いままでは,自分たちのプライドや利益は守られても,他県の人からは「田舎だ~!」と笑われてしまうのである。