G8で菅総理は,「最高度の原子力安全の実現」を表明した。では,これまでは最高度の安全を確保していなかったというのか。いや,自分たちの持てる最大限の想像力と技術力で原発は造られてきたはずだ。しかし,いくら最高度の安全を確保したつもりでも,100年後の専門家から見ると,現時点での最高度の原発安全技術は穴ぼこだらけで危険極まりないものなのであろう。もし普遍的に最高度の原発ができるならば,それは科学技術の進歩がストップすることを意味する。しかし,そのようなことは歴史上も今後もありえない。科学技術というものは,意図的にやめない限り必ず進歩するものなのである。
 原発は,一度事故が起きると取り返しがつかない被害が出てしまう。人間が対処できる範囲を超えている。事故に対処しきれないものを扱ってはいけないだろう。高濃度の放射能が広がってもそれをすぐに消してしまうような技術ができるまでは,原発に手を出してはいけない。