最期は人の判断

　原子力安全委員会が，地震直後からの詳細なスピーディの結果を公表した。多くの人々が強い放射能を浴びたり，何もわからない不安な日々がある程度終わったりしたことを確認したのちに…。最後の嫌がらせか。
　どんなに素晴らしい危機管理の装置があったとしても，それを動かしたり，あるいはその結果を発表する判断をしたりするのは，日本の政治家である。間に政治家（または政治家から指示を受けた官僚や機関）が入ってしまうのである。理想的な安全国家をつくるのは，日本では無理なのである（勝手に決めつけているわけではない。今回，すべての人がその事実を見たであろう）。
　いざという時，放射能被害をできるだけ少なくするために，１００億円以上の税金を使ってスピーディが開発された。細野氏はスピーディの結果を発表せず生かせなかったことを申し訳なく思うと話した。１００億円+意図的に放射能を浴びさせていた償いが，どこかの中年男の「申し訳なく思う」の一言で済んでしまう日本を，私はすごいと思うのである。気持ちもこもっていない，１円にもならない（謝罪の）言葉などあってもなくてもよい。スピーディの予測を無視したことによって，多くの放射能を浴びてしまった人たちには，その分の正当な補償をしなければならない。もちろん補償費は，他人である国民の税金を使ってはいけない。スピーディの公表を止め続けることにかかわった人々のすべての財産を用い，足りない分は今後毎月ローンで払っていく。それが責任を取るということであろうし，同じミスを繰り返させない唯一の方法でもある。