東電による今後の原発の見通しの発表を受けて,菅総理が「きょうは東京電力の(収束見通しの)発表もあって、少し前進できた感じがするよね」と話していた。国民も安心したのだろうか。
 私にはこの東電が発表した見通しに何の意味があるのかよくわからない。被災地の行政の長や記者たちに責められ強く要求されて,仕方なくとりあえず作成して出されたものだ。今原発は事故が進行中で,綱渡りの状態である。施設は,地震や津波,水素爆発などでめちゃくちゃになっており,突発的なことが日々起きている。どの施設が次にどうなるか,誰にもわからないであろう。ただ,今以上に悪いことが起きないという絶対条件のもとで,これからはこのようにやっていかなければならないであろうというものを発表したに過ぎない。発表をしても,現状が変わるわけでもない。あのめちゃくちゃな施設を見ると,私には見通し通りに行く可能性のほうが少ないように感じるのである。今回の地震域の東側,つまり海でもう一度大きな地震が発生するこが予想されている。前回と同じような津波が原発付近で起こったら,原発はどうなるのだろうか。
 紙に書かれた見通しがある,ないではなく,現状を改善し続け,先手先手と安定に向けて最善の方法をおこなっていく,そしてその間には見通しにはなかった様々な困難や事故もたくさん起きるだろう。それにも立ち向かっていき,できるだけ安定に向けて改善していく,ということだろう。見通しを聞いて「ああ,よかった」と安心するようなことではないように感じる。