数年ぶりにテレビ朝日の「朝まで生テレビ」を見た。出演者のメンバー構成がすっかり変わり、はねっ返りの若いITオタクが目立った。かつて司会者の隣に座っていたご意見番のような人もいなくなり、みな興奮状態で自己中心的な持論を好き勝手にぶつけ合っている感じだった。とてもがっかりした。
 特に印象に残っているのは、「どこかの国が日本に攻めてきて日本の領土を奪うなんて絶対にない」、「奪われたら金で買い戻せばいいだけの話じゃないか」といったような内容のことを興奮しながら何度も繰り返し話していたホリエモンの主張である。他国がわが国の領土を奪うはずがないのか、奪う可能性があるのかどちらだと思っているのかがよくわからないし、日本の周辺国は日本の土地を少しでも奪いたくてうずうずしている。金で国土を売る国など地球上にない。論理も内容もめちゃくちゃだった。また、彼は人の発言を笑ってちゃかしたり、聞かなかったりするなど態度も悪く、最後は司会者に「人の話を聞いてから話せ!」と怒鳴られてもいた。ホリエモンという人は、はったりで生きているんだなあという感じがした。
 ホリエモンの性格や持論はビジネスでもいかんなく発揮され、東京地裁で「企業の責任者としての自覚が微塵も感じられない」と2年6ヶ月の実刑をうけ、高裁でも控訴が棄却された(最高裁に上告)。彼は高額な保釈金を納めて社会に出ているが、本来金持ちでない一般人であれば社会に出ていない身である。そのような彼をテレビ朝日は普通のテレビ番組に出演させていいのだろうか(社会的に)。国民はテレビの討論番組の中の彼を見ることで、彼はたいした罪を犯していなかったんだなあ、彼は才能があるんだなあ、すごい人なんだなあと誤解してしまう。かつて彼が日本のビジネス界や企業に与えた恐怖や、まだ確定ではないが地裁や高裁で懲役刑を受けている人物であることなどを考慮すると、テレビ出演をさせることはひかえるべきであろう。
 テレビ朝日は、自分さえ良ければ(自分の局の視聴率さえ上がれば)、社会の常識や社会への影響などはあまり考えないようである。このような考え方がホリエモンと一致するので彼を出演させるのだろうが、まったくふざけている。真剣だったら非常にまずい。