教師は、子ども達の自分勝手を許し、腫れ物に触るようにきげんをとりながら指導をするようになった。そうしないと、すぐに親が学校に文句を言いにきて本来の仕事に支障をきたすからだ。それに今の親達は丁寧に説明をしてもわからない。なぜならば、親の目的は自分の子どもは絶対に悪くはないので子どもの言うとおりにしてもらいたいということだからだ。親は、自分一人でだめだと思ったら、他の親達を口車に乗せて、集団で学校に押し寄せる。その対応を考えると、間違ってはいるが、子どもの悪い所や言い分を黙認して認めてやるほうがよい。しかし、それは悪い人間を作り出し、学級崩壊やいじめへとつながっているのである。そもそも子どもは未熟だから指導をして普通の大人にする必要があるのであるが…。
 学校や学級から秩序が失われ、教師の権威もなくなった。戦後すぐの学校教育では、教師は恐い存在だった。スポーツの世界でも厳しい指導者の基で育った選手は道徳的にも立派であるし、自分に厳しく他人に優しい。しかし現代の教師は、子どもに対して優しく優しく対応しないと親やマスコミから批判をされるため、おかしな指導となり、変な子どもがますます増えている。子どもを適切に教育する場所が消えてしまったのである。
 正月に、「小学生が学校事情を大討論」という番組があるようだ。まだ未熟な子ども達が出てきて何を叫び、司会者がどのようにまとめるのか、目に浮かぶようである。それをテレビで見る全国のまだ未発達な子ども達は、ますます自分の言動はすべて正しいのだと思い込み、教師のことを軽んじるようになり、学校教育の素人である親達は「やってやるぞ」と学校や担任への対抗意識を新たにするだろう。学級崩壊やいじめによる自殺者の多発を受けて、このたび学級崩壊対応マニュアルが10年ぶりに改訂になるそうだが、そんなことをやってもこのような番組の影響に対抗できるものではない。
 単なるマスコミが、政治も教育も、ひいては日本社会をもだめにする力を持っていることが非常に残念である。