中学校対抗のサッカーの試合で、水俣市の中学生が他市の相手チーム選手に、試合中「水俣病、触るな」と言われたということだ。翌日、この発言をした中学生が通う学校の校長が水俣市を訪れ、「水俣病についてきちんと教育できていなかったかもしれない。申し訳ない」とあやまったそうだ。
 本当に水俣病についてきちんと教育ができていなかったから、この中学生は言ったのだろうか。例えば甲信越地方や北海道の子ども達は、水俣病について学校で詳しく教育を受けていないが、水俣市の子どもと試合をしても何も言わないだろう。この発言をした中学生は、相手チームの中学生が本当に水俣病とも思っていないし、触ってうつるものだとも思っていない可能性もある。子どもは、悪口を言いたければ、「はげ」とか「ちび」「でぶ 」などと何だって言うものだ。事実ではないとわかっていること、たとえば相手がバカではないとわかっていても、「ば~か!」と言ったりもする。
 水俣病についての教育の問題ではなく、この中学生個人の思いやり(広く言えば道徳心)の問題ではないだろうか。