昭和30年代頃までは、小学校教師は尊敬の対象だったので、担任や学校に対して批判をしたり文句を言ったりする親はほとんどいなかったし、子どもも教師の言うことを素直に聞いた。それがあたりまえのことであった。そして、大きな問題もなく、うまく進んでいた。
 現在を見てみると、親は担任や学校の批判を繰り返し、それを聞く子どもは教師にはむかってくる。親は子どもを甘やかし、自己中心的でとがった子ども(失礼!自分の意見を堂々といえる子?)に育てるが、それを学校で指導しようとするとある程度の父親的な強さが必要な時もある。しかし、少し厳しくすると、その育ての親が学校に文句を言ってくる。そうなるので、教師はあまり子どもを真剣によくしてやろうと思わなくなり、事なかれ主義で子どもや親の機嫌をとりはじめた。その結果、親や子どもはますます調子に乗り、学校、担任批判がどんどんエスカレートするようになった。教師の権威はなくなった。健全な教育の成立が難しくなってきた。
 そもそもの原因は、文科省が「個性尊重」を誤認していること、いかなる体罰も絶対禁止となったこと、教育委員会や校長職に、変な文句を言ってきたり揚げ足取りをしたりしに来る親を一喝して追い払うようないわゆる頑固親父がいなくなったことなどがあろう。
 とにかく教師がかつてのような権威を持てるように、法整備や制度改革を行い、社会の風潮も変えていかないと、教師の自殺や過労死が増える一方であろうし、何よりも当の親や子どもにとって不幸なことであろう。