物事の(全体の)正論は、1つの正しい筋であれば、それは(全体の)正論だとはならない。それは、たった1つの部分的正論にすぎない。筋の通った話などは、視点や立場、取り上げる要素などによって、何十、何百と作ることができる。
 物事の(全体の)正論を導く時、いくつもある正しい筋の通ったことのうち、どれを1番に優先させるかという「比較」によることが多い(調整による場合もある)。1つの正論を一生懸命繰り返し言い、自分の意見は正しいと主張する人がよくいるが、1つの正しい筋をいくら強調しても、それが全体的・総合的に正しいとは限らないのである。
 物事の(全体の)正論を導く時は、最初に出されたもっともらしい筋の通った話を、即正論とするのではなく、いくつもの筋を比較して、よりよい筋、より適切な筋を比較・選択することに力を注ぐのがよい。