京都大付属病院で、滅菌されていないガーゼが、手術中の血止めなどに使われていたそうだ。ガーゼの注文のさいのミスで、用意した看護士も気がつかなかったということだ。
 先の選挙で、係りの人2名でチェックしていたにもかかわらず、2枚の投票表紙を入れ替えて有権者に渡してしまい、無効となるということが起こった。また、2人の立候補者の不在者投票を逆にして得票数に足していた所もあった。ここでも複数の係りの人がそれに気づかなかったらしい。
 以前、飛行場の管制室にいる十数人が全員、事前の連絡事項を忘れていたために、滑走路内で事故がおきたということもあった。
 チェックする人数が増えれば、正確にチェックされる可能性が高まるというわけでもない。むしろ、自分以外にも点検する人がいるからとお互いに安心して見落とす可能性が高まる場合もある。
 ミスがあった。だから今後はもっと気をつけたい、とか、チェックする人数を増やしていきたいといったことは、実質的な改善策とはならない気がする。
 原子力発電所だったか原子力を研究している施設では、一気に2つの液体を混ぜると臨界がおきるから、絶対に一気に2つの液体が混ざらないように、入れ物の形状が細くなっていると聞いた。人間は必ずミスをする。無意識のうちに考えこともするだろうし、思い違いもする。点検する人がたくさんいても、相互作用や連絡ミスで、全員が気づかなかったり勘違いをしたりすることもある。したがって、重要な判断をしたり、人の命に関わる仕事をしたりするような所では、原子力施設のようにミスや勘違いなどによる失敗を物理的に防いでしまうようなチェックの仕組みを確立していくことが必要だと思う。