井上康生が大会で優勝した。井上康生と聞くと、オリンピックで1度負けたらその後の試合はやる気をなくし、復活戦だか3位決定戦だかでもすぐに負けたことを思い出す。優勝や目指している順位になれないからといって、気持ちが砕けていい加減にやったのは、バレーでもバドミントンでも何のスポーツでも見たことがなかった。あの柔道を代表する井上康生の試合だけだ。
 武道は、精神を鍛えるなどとよく言われるが、いくら長年やって強くなっても、それは精神を強くすることとまったく関係がないことが証明された出来事だった。