原因の確定

　校長が、子どもの自殺はいじめと認めたと報道されていた。校長の発言は二転三転したが、私の解釈では、校長はいじめを隠そうとか、原因をあやふやにしてしまおうという思いで、いじめが原因かどうかわからないと言っていたのではないと思う。では、なぜ一番初めは「いじめが原因だと思う」と言ってしまったのかというと、遺書にそのようなことが書いてあったし、親やマスコミが責めたてるから冷静に判断せず、詳しく調査もせずに憶測で言ってしまったのだろう。
　私がその校長だとしても、いじめが原因だったと即答はできないだろう（しないだろう）。遺書から、おそらくいじめが原因と思われるが、調べたり確認したりするなど精査しないと、自分達なりのはっきりした結論がだせるわけがない。仮に警察が捜査したり裁判所が判断したりする場合でも、たとえ遺書があったとしても事実関係の把握や確認は当然するので、２，３日のうちにいじめが原因だったと結論付けたりすることはないだろう。裁判だと長引けば半年とか１年（数年）かかるかもしれない。この場合、即座に「いじめ」と認めない警察や裁判所は、「いじめを隠ぺいしようとした！」となるのだろうか。そんな馬鹿なことはない。
　親やマスコミは学校や校長を責め立て、短期間のうちに無理に校長に「原因はいじめであった」と言わせた。このような不正義が許されるのだろうか。親は、真実をきちんと知りたいとは思わないのだろうか。学校としてよく調べ、その結果、１ヵ月後とか２週間後などに「我々のこれまでの調べでは、原因がいじめであったと思う。（警察のような厳密な取調べはできないので、学校だけでは正確さに限界があろう）」と言うのが自然の流れではないだろうか。
　親はパニックになっているから仕方がないとしても、東京からわざわざやってきて「よく調べなくてもいいから、すぐいじめが原因だと言え！」といった世論を作りながら責めるマスコミをみていると、いったいなんの権利があって好き勝手に振舞っているのだろうかと思う。これは人の死がかかった本格的な事件である。ワイドショーの視聴率を上げるためなら、教育問題からは手を引いてほしい（あおるのはやめてほしい）。