波紋

　中学２年生の子どもが自殺した中学校でアンケートをとったら、「自分も他の教師からいじめを受けた」とか「体罰を受けたことがある」などといったものがあったそうだ。
　中学という段階は、親たちも家庭で手を焼いてわかっていると思うが、反抗期のため自己中心的でとがっている年頃である。ちょっとのことでも、奇声をあげて怒ったり暴力を振るったりもする。そのような子ども達に、先生の事を聞いたら、９０パーセント以上は悪く言うように思う。私が中学の頃の思いでも、ほとんどの先生のいやだった態度のことしか記憶にない。今回の事件は、教育の本質や主たる要因から離れて、まずい方向に進んでいるように思う。
　この大騒ぎに便乗するように、校長による教員へのいじめ？も問題になっている。いじめられた教員も自殺した。例えば都市銀行などでは、夜の１０時に社員が銀行に電話をしたら、「今日中にあと５００万集めて来い。集めるまで戻ってくるな。」と怒鳴られたり、大手企業では、罵倒されながら書類や灰皿を顔にぶつけられたりなど、よくあることである。中小企業にいたっては、社員を人間扱いしないところなどたくさんあると思う。公務員、特に教員は世間知らずの井の中の蛙なのである。道徳的にとか法律的になどといったことは、会社では第１のことではないのである。
　最近の大騒ぎは、自殺者が出るという異常な状態を改善するためのものだろうが、短絡的・感情的に騒がず、広く意見を聞き、いろいろなことをじっくり時間をかけて考えて、懲罰的なものや一時しのぎで終わらずに、実のある結論を導くようにしてほしいものである。