教師の権威

　小学５年生の子どもが自殺した。教師に厳しく注意されたからということである。同級生の子どもの話では、その子は、普段からその教師に何度も注意をされ、「むかつく」と話していたようである。その子の親は、当然学校や教師批判をしていた。
　戦前、戦中は、学校で授業がきちんと成立し、教師の指導が子どもにきちんと入り、おそらく今のように子どもが自殺したり不登校になったりする子どもも、いなかったか、少なかったであろう。理由を考えると、当時学校や教師が絶対視されていたことが大きな要因にもなっていると思う。
　今は、親も社会もマスコミも、学校や教師に平気で（思い違いによる批判や一方的な論理、偏見など）なんでも言える時代である。テレビのドラマでも、教師に対して、子ども達が「むかつく」といったり、反抗したり、校長や教育委員会の人が親の訴えにすぐ謝っている場面を何度も流すことで、教師には強く出ても大丈夫なんだという新たな社会規範を若い親達に植えつけ、親の姿勢は、子どもに受け継がれていく。「教師」といものから権威を取り、学校や教師に対する悪口や批判的な言い方を子どもにしている親や社会に、子ども達を悪くする根本の原因があるように思う。
　永平寺でお坊さんになりたいといって来た人は、まず自分の現在の見方や考えを全て否定され、それができたら入山を許可されると聞く。そうしないと、どんなに偉いお坊さんがいくら説法しても無駄だからだそうである。はじめの心構えがとても大切なのであろう。
　親達に言いたい。教師の権威を取り戻しても、めちゃくちゃなことをする教師なんてほとんどいない。教師達は、いつも子ども達のことを大切に考え、それなりに一生懸命努力し指導しているのである。
　子ども達も、親達も、「先生というのは立派なんだ。反抗なんてとんでもないことだ。」という意識がもてるような時代になったら、子ども達は一気に変わっていくであろう。自殺した子どもは、本当にかわいそうであった。社会も親も、天に唾することはやめたほうがよい。