首相の靖国参拝は違憲であるとの判断が下された。それについて、小泉氏は、「私は戦没者に対する哀悼の誠をささげるということと、二度とあのような戦争を起こしてはならないという気持ちで参拝している。それが憲法違反であるというのはどういうことか」と判決を批判しているらしい。
 裁判所というものは、法律に照らして、合法か違法かを決めるところである。道徳的にどうであろうと、それは関係ない。だから、これまでのさまざまな裁判を見ると、被害者にとって非常にかわいそうな判決も数多く言い渡されてきた。小泉氏の戦争に対する気持ちは立派かもしれないが、首相である立場の人が宗教活動とみなされる行動をしたということが違法であるということである。
 小泉氏や、これまで道徳的に理不尽な判決を受けた数多くの被害者などが、「この判決には納得できない。」とか、「裁判所の判断は間違っている。」などと言って、裁判所を非難するのはおかしい。裁判所は、そういう性質のところではないのである。もし裁判所に違う判断を求めるのならば、法律そのものを変えなければならない。