今から30年前、丁度イギリスから中国に領土返還が行われた頃、香港に5年程住んでいました。まだ若くてフツーに丈夫な体だったのですが、香港に移動した最初の1年はバンバン病気になりました。周りに聞くと、みんなが一度は通る道的な…。
原因は大気汚染と不衛生?
歯も何度か治療しました。30年前のお話なので、今はきっとだいぶ違うと思うのですが。
香港はとにかく家賃が高いので、どのクリニックも極狭でした。椅子と椅子の距離も近く、お隣の患者のうがいの飛沫とか飛んできそう。
患者への気遣いはゼロでしたね。受付も歯科衛生士も歯医者も、無愛想で患者扱いが粗め。歯医者のオレ様感もハンパなかった。「痛っ!」と言ったら「痛くないっ!」と叱られたことあります。
他人の叱責
怖くて2センチくらい
背が縮んじゃいました
香港人は「時は金なり」なので、ありえないレベルでせっかちです。椅子に座った途端に、ガバっと口を開けられ、激痛な麻酔の注射をブスリ、注入速度の限界を超えてるので、麻酔薬が歯茎から溢れ、辛い辛い。とにかく動作の一つ一つがぞんざい気味。治療自体にも全く納得がいきませんでしたね。治療してもしても同じ歯が何度も痛んだりしてました。
歯を治療すればするほど
やさぐれていきました
ビルがギュウギュウ詰めに建てられているため、建替えが難しく、どのビルも古いので衛生的にも不安な病院が多かった記憶があります。建物だけでなく、ドクターも今ひとつ清潔感に欠け、髪がベタベタだったり、白衣にシミがあったり、歯医者なのにタバコのヤニで歯がばっちかったりして、転院に次ぐ転院を繰り返す日々でした。
デンタル難民
支払い時は、出そうとしている紙幣をむしり取る勢いで、歯医者に行くたび心がえぐられてましたね。悪気はないんだと思います。文化なんです。
でもへこむ
歯以外の病気にも色々かかりました。最初は冷房による重い風邪。香港は建物の外は熱風、中は冷蔵庫、地下鉄なんて冷凍庫です。乾燥と寒さによる単なる風邪だから近所の病院でいいや、とテキトーに行ったらアグネス・チャンのお姉さんのクリニックでした。
カタコトの日本語が
アグネスとおんなじクセ
救急車には3回も乗ってしまいました。私は居住した国で、漏れなく救急要請をしましたが、香港がレベチで乗り心地が悪かったと断言できます。
最初は胃腸炎。日本から香港に居を移したばかりのルーキーがよく受ける、洗礼のような病気です。もう胃がちぎれてるんじゃないかと思うくらいの激痛でした。夫は一族全員超健康優良児で、重病人のお世話をしたことがありません。気が遠くなってきた時点で自分で救急車を呼びました。
オロオロする夫に絶望
病院での診察時、ウンウン唸っている私の横で、ドクターに「夕食は何を食べた?」と聞かれ、付き添いの夫が「北京ダックと豆腐のスープと…」って、自分が会食時に食べた物を、思い出しながら真剣に答えていたのには、痛みと格闘しながらも笑えて仕方ありませんでした。
ドクターすら大爆笑
和むER
それからアレルギー。市販薬を飲んだら急に身体中に発疹が出て、高熱と息苦しさに襲われ、また救急車を呼びました。香港はエレベーターも狭いので、担架は椅子型で、座ったまま搬送されました。坂や曲がり角が多い上、運転も荒く、余りの揺れに首まで痛めるかと思いました。
コレです!
そうそう、水が違うからか、髪が劣化し、順応するまで物すごい量抜け落ちましたね。初めての経験で、怖かったです。
最後の救急車は落馬
高校生の時に前歯を失った原因は落馬。それからずっとデンタルブルーで苦しんできたのに、なぜまた乗馬?
もちろん、ためらいはありました。でも、香港って娯楽がないんですよ。平日は仕事がありましたが、休日はすることが何にもないんです。観光名所を巡り、離島を全制覇し、ショッピングやグルメにはそう興味ないしで、すぐに退屈が襲ってきました。そんな時、友人に「日本人乗馬会」とやらに誘われ、今度は乗馬服も揃え、本格的に練習に励みました。
そこそこ乗れるようになり、馬場を出て外乗りに出かけたんです。そこで馬同士を近づけ過ぎ、ダービーになってしまい大暴走。あっさり振り落とされ気絶。この落馬は結構な事故で、乗馬帽にヒビが入ったくらいです。内出血で背中側の腰部分がラクダのコブのようになり、ミリの動きで激痛でした。今でもその部分は触っても感触がありません。
他にも砂馬場と外乗りで計2回落馬しました。両方とも、馬がつまずき横倒しになり(馬も転ぶんです)馬の下敷きになり鎖骨にヒビが入ったり、放り出されて背中を強打したり。
乗馬、向いてないよね
その後、可愛がっていた馬「チーズケーキ」が癌になり、安楽死となったのを機に乗馬はやめました。病気でつらかったろうに、知らずに無理をさせてしまったんだと思うと、胸が痛くてたまりませんでした。乗馬はもう二度とすることはないと思います。
色々ありましたが、香港は食が充実しているし、何でも揃っていて不便はないし、異文化も興味深いし、人付き合いも「魚心水心」を期待しなければ大丈夫。列に並んだり、他人に遠慮する習慣がないので、外でトイレに入ったりタクシーを捕まえるたび、バトルに耐えられる強靭ささえあれば、エンジョイできると思います。
でも、今の心身虚弱な私には頑張れそうにないので、次の駐在の香港行きはご辞退させて頂きました。私が「香港には帯同しない」宣言をし、夫はこの台湾駐在が終わったら早期リタイアする決断をしました。
残り少ない健康寿命
大事にしなくては
