昨日の朝の目覚め自体は悪くなかった
疲れもそれ程残っていなかったし
まぶたも重いとは感じなかった
ただ何か付きまとうものがあった
嫌な予感という言葉が妥当だ
思い当たる節はなかったが
直感というものがはたらいたのだろう
その嫌な予感のせいで心地よい目覚めとはならなかった
昨日は家に誰もいなかった
2階のリビングに降り
一人でコーンフレークを食べた
優雅な朝である
あの予感さえなければ
録画した番組を見ながらソファに寝そべる
今日も平和だなあと
浪人生は感じていた
そんな安心感も束の間
誰もいるはずのない一階から物音がするのに気がついてしまった
恐る恐る階段を下っていくと
物音は次第に大きくなってゆく
心臓の鼓動が速くなることにも気付かないくらい
動揺していた
嫌な予感は的中したのかと考える余裕もなかった
しかしここで引き下がったら
男じゃない
心のどこかにカッコつけたい自分がいた
気づいたときにはバットを片手に
物音のする部屋のドアの前にいた
まだ物音はする
ガサゴソガサゴソ聞こえている
勇気を振り絞り
ドアノブに手をかけ
ゆっくりと
開けた
次の瞬間
僕は目を疑った
そこには僕のことには目もくれず
淡々と自分の作業をこなす
コピー機がいた
FAXをがんばってコピーしているコピー機がいた
誰も見てないところで
ただひたすらに
自分のやるべきことを
当たり前のようにやっている
コピー機がいた
そんなコピー機を見て
自分もがんばらなくちゃなって
思えたんだ
7月になったけど
コピー機は多分今日が何月か
知らずに、知ろうともせずに
ただひたすらにがんばっている
そんなコピー機みたいに
僕はなりたい
でも僕は誰のコピーも真似もしたくない
自分らしく生きたいとも思う
今、希望に満ち溢れた心地がする
なんでもできそうな気がするんだ
この気持ちをいつでも持っていたい
この気持ちをコピーして保存できたらいいのになあ
と思いながら
また1日が終わる
なんて平和なんだろう
僕の嫌な予感は
初夏の夜空に打ち上げられて
希望と言う名の花を咲かせた
一足早い
僕の花火大会のようだった
小説っぽく書いてみましたからの投稿