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詩と短歌、たまに日記を書きます

雨の降る町に生まれた
雨の降らない日なんてなかった
傘など忘れてしまえばいいと
濡れたくないのにいつも思った
あの町に住んでいた頃
空を見たかったから
みんなと同じ
ビニール傘を差して
学校や公民館の
傘立てにやってくる度に
もう二度と会えない
友人のことを考えた

靴が濡れていたこと
肩が濡れてしまっていたこと
カバンが
左手が
ずっとずっと乾かなかったこと

小学生が黄色い合羽を着て
飛べない
鳥や虫を探している
蝶々が大好きだった友人は
図鑑を閉じて町を出た
野球が好きだった友人も
水たまりを踏みつけて出ていった
卓球が好きだった私は
体育館に一人残って
カットサーブの練習を続けた
回転が上手くかからない
それは湿度のせいだったのだと
今でも思っている

雨はいつも降っていた
傘立てには傘があった
全て同じビニール傘で
全て私のものではなかった
だから傘のことはもう
忘れてしまえばいい

濡れてしまうこと
寒気がしてくること
くしゃみの音すらも
雨音に流されて雲になること


久しぶりに雨が降った
今いる町では雨が少ない
コンビニでビニール傘を買って
信号が変わるのを待った
下校中の小学生たちが
濡れるのも気にせずじゃんけんをしている
その勝敗に聞き耳を立てながら
ビニール越しに空を眺めて
私のものであったはずの
傘のことを考えていた
騙されて
マンゴーになった
わたしだけ
そっと降り立つ
世界があるの


イヤホンを
しているのかと
思ったら
ただただリアルな
顔の輪郭


水であり
土であり植物であり
花も咲かせる
ものを育てる
指が真っ直ぐに伸び
手の甲に浮かぶ
しろい鍵盤
脈をはかるように触れると
鳴らした音は
ウサギみたいに跳躍して
重なり合うことを恐れている
だから背景の無い
写真を撮ろう
うつるものが
ふわふわの
しろいしろい
生き物でありますように
雪の降る
そのためだけの
しろいしろい
羽根とは呼ばれない
ものでありますように

とぎれとぎれの
飛行機雲が
鳥を使って
分数の計算をする
軌道を追いかけ
答えが行き着く空港で
銃声を聞いた
ひとつより小さな
私たちのことは
夕陽の黒点だと思ってください
あるいは遠吠えをしている
近所の犬に返事をする
どこかの犬の叫びだとでも


揺れるカーテンの飛沫は
閃光が走る機内に埋め尽くされた
十字架を錆びつかせる
重ね合わせた手の平に
柔らかい感触を与えるものは
骨を覆っていた
焦げたりする部分で
焼かれる音や
飛び散っていく火花のどれもが
痛みを引き連れて
階段を降りてゆく
止まない足音に
重なるように
シャッターがきられて
波紋がそのまま
ただ小さな
山と呼ばれる
そのためだけに
四角い平面の真ん中で
燻っていた