小学5年生の頃。

 

好きな人の名前を、ケースというかカバーから脱がせた消しゴムに書いて、誰にも見られないまま使いきれたら両想いになる、というおまじないがあった。

 

 

この時代、この頃。

担任は生徒を呼び捨てで呼ぶのが当たり前だったし、担任が生徒をあだ名で呼ぶのにも、疑問や文句を唱える者など誰も居なかったように思う。

 

男子は当たり前に女子を呼び捨てで呼び、女子もまた男子を呼び捨てにしていた。

 

 

桜

 

1年生2年生と同じクラス、5年生でまた同じクラスになった女子がいた。

 

 

確か。2年生の時までは、下のなまえに「ちゃん」をつけて呼んでいたと思う。幼稚園から一緒で、近所でもあり、皆がそう呼んでいたから、『○○ちゃん』と呼ぶのが当たり前だった。

 

再びまた同じクラスになって、同じ空間で同じ時間を過ごすのが増えた。それに伴い名前を呼ぶ・呼ばなきゃならない機会が増えた。

 

でもさすがに5年生くらいになると気恥ずかしさがあって、意識的に名字を呼び捨てにした。

 

すると・・・最初は不思議そうな顔をして、次に怒ったように、というか、淋しそうな表情で「なんで?」と言われた。

その瞬間の僕は、意味が分からなかった。間違いを責められたような感覚だった。

 

 

船 晴れ

 

新しいクラスになって、やたらとその女子にちょっかいを出す男子がいた。好きなんだな、と思った。

 

 

今にして思えば、どういうつもりでそれをしたのか?何も考えもせずしたのか、意図や期待があってしたのか。だとしても、それはそれで破滅的だったと今振り返っても笑ってしまうが・・・

休み時間、その女子の目の前で筆箱を強奪した。「なんで?」と思ったが直ぐにその目的が分かった。そいつは消しゴムを手にした。

 

次の瞬間。

 

その女子は、物凄い勢いで両手でその男子を突き飛ばした。それで派手にすっ飛ばされたが、幸いそいつに怪我はなかった。

ただ、その両名、職員室に行くことになった。

 

職員室から戻って来たとき、そいつは涙目の、😭泣き顔だった。(笑)

一方、心配気にその女子を見つめていたであろう僕に、その女子は、ペロっと舌を出した。

 

 

今こうして書いていて、われながらまいったことに、その時の表情だけでなく、その日のその女子の服装を思い出せてしまう。※鮮明ではないです、鮮明では(笑)

 

晴れ

 

台風

 

霧

 

星空

 

 

雪の結晶

 

時計

 

 

子供の頃は、自転車で町をまたいだだけでも随分と遠く離れた場所へ行った気がしていた。それが転校となると尚更だ。

 

父の仕事の関係で、僕は転校することとなった。こういうとき、クラスで盛大にお別れ会をする。今までは送り出す側で、お別れ会の出し物は何をしようかとグループで楽しんで来ていた。が、送り出される側になると、友達とその準備でじゃれ合ったり出来ない。転校することが決まった時には「ああ、そんなんだ」くらいにしか思っていなかったけれども、ここから淋しさが実感となってこみ上げて来るようになった。

 

 

最後の日。

 

 

その女子とおばさんとおじさんが、父やら母やら僕に挨拶に来てくれた。

「さあさぁ、まぁまあ、どうぞどうぞ」と招き入れて、玄関で見事に僕とその女子だけになった。

 

 

プレゼント

「あげる!」といつものような感じで、リボンで飾られた小さな箱を僕に渡してくれた。お店で売っているような感じではなく折り紙とかで包まれていたように思う。その外観はこのくらいにしか思い出せない。

 

が。

 

 

その中には、あの時。

京子ちゃんが力いっぱいで守った、

今あと少しで使い終わる消しゴムが入っていた。

 

桜

 

 

 

 

■先日、移動の際、携帯プレーヤーから流れてきた歌。

 

 

 

■最近、ドラマでよく見かける若手の女優さんに山田杏奈という人がいます。

山田と入力すると、予測変換候補にはもう上がってきましたね。木村拓哉や満島ひかりが出ていた『未来への10カウント』で、部員役していた役者さんです。この折に改めて調べてみましたら、2001年生まれの21歳。若いといえば若いのですが、いやもっと若いと思っていました(笑) 演技の細かい技法は分かりませんが、移り変わる心情の機微をあらわす表情や声の出し方、役作りがうまかったと思います。引き込まれました。

 

最初、誰かに似ているなあと思いつつ、その「誰か」に直ぐ辿り着けられませんでした。

 

 

■何曜日だったか、今週から深夜に、消しゴムを重要な軸にしたドラマが始まっていました。僕が見たのは、たまたまの予告のみですが。

 

 

 

この3つに突き動かされて、書いてみました。

 

 

 

ほぼほぼ、作り話です。

 

ここまでお読み戴きまして

いつもにも増して、増し増しで

誠に誠にありがとうございました!

厚く御礼申し上げます。

ほぼほぼ作り話でした。

 

 

 

本文房具の思い出。でした。

 

了。