前回記事内“ニール・セダ”の「」から…

 

「奏(かなで)」 スキマスイッチ 2004年

 

スキマスイッチを知ったのは

翌2005年の「全力少年」でした。

ファンの方達には申し訳ないのですが

沢山ある流行歌の一つで片付いていました。

 

胸に響いたのは、

高い評価を抱くようになった曲は、

後追いですが「奏(かなで)」でした。

 

「全力少年」が通算5枚目、

「奏(かなで)」は2枚目のシングルです。

 

画像は彼らのファーストアルバム

『夏雲ノイズ』

 

ファンの方達には本当に申し訳ないのですが

未だに「全力少年」の明るい感じはどうでもよくて(笑)

このアルバム1曲目「螺旋」に始まり

11曲目「えんぴつケシゴム」

~overture~

12曲目「奏(かなで)」

のスキマスイッチが好きです。

※好きなのでどうか、どうぞ許してくださいニヤリ

 

机の奥から出てきたえんぴつ型の懐かしい消しゴム

君の名前が書かれている

 

隣の席にいつも座ってたのに

なかなかしゃべるきっかけもないまま

「消しゴムかして」たったそれだけなのに

僕は一生分の勇気を使った気がした

 

あのままどこか遠くへ行ってしまって

盗むつもりなんて

これっぽっちもなかったのに

卒業アルバムにも載ってない君は

遠い記憶の中で少し可愛くなってる

 

… …

 

バカだなぁ、僕は昔を懐かしんで

こんな夜中にいろいろ引っ張り出しちゃって

卒業アルバムにも載ってない君は

遠い記憶の中で少し可愛くなってる

 

「えんぴつケシゴム」

 

 

そのまんまの経験があるわけではないのだけれども、思い出される教室での一コマや気持ちが呼び起こされたりする。

 

“貸して”ではなく

“かして”にも意味がある。

国語の試験の記述問題に採用出来ます(笑)

 

TとKさんを思い出したりもする。きっとTはKさんが好きだった、と僕は思っている。 Kさんへの接し方にTの優しさを感じた。

 

そうこう思っているうちに、

インストゥルメントを挟んで

「奏(かなで)」へ引き継がれていく。

 

改札の前つなぐ手と手 

いつものざわめき、新しい風

明るく見送るはずだったのに 

うまく笑えずに君を見ていた

 

君が大人になってくその季節が

悲しい歌で溢れないように

最後に何か君に伝えたくて

「さよなら」に代わる言葉を僕は探してた

 

 

 

音譜画像しりとり 今日の結果(真)卒業証書桜

 

「えんぴつケシゴム」

「奏(かなで)」を聴くと思い出さずにはいられない曲があります。

 

前回記事内“ニール・セダ”の「」から…

ぐや姫「なごり雪」。 1974年

 

イルカ、伊勢正三に風の名前が浮かびますが

初出は、かぐや姫の4枚目のアルバム

『三階建ての詩』です。

 

ちなみに「22才の別れ」もこのアルバムに収録されています。

 

“正やん、おそるべし” です。

 

 

しゃを まつ みのよこで ぼくは

とけいを にしてる

せつはずれの ゆが ふってる

 

とうょうで みる ゆは 

これが さいごねと

さみしそうに みが つぶやく 

 

なごりゆも ふるとを しり

ふざけすぎた せつの あとで

 

いま はるが て 

みは れいに なった

ょねんより ずっと れいになった

 

 

汽車を待つ君の横で僕は

時計を気にしてる

季節はずれの雪が降ってる

 

東京で見る雪はこれが最後ねと

さみしそうに君がつぶやく

 

なごり雪も降る時を知り

ふざけすぎた季節のあとで

今春が来て君はきれいになった

去年よりずっときれいになった

 

 

「キ」という音は耳障りのいい音ではありません。でも、言葉にならない溢れる気持ちが込められて「君」を想う時、豊かにやさしくあたたかい響きとなります。時にやわらかく、時に強く、歌われています。

 

動き始めた汽車の窓に顔をつけて

君は何か言おうとしている

君のくちびるがさようならと動くことが

こわくて下をむいてた

 

時がゆけば幼い君も

大人になると気づかないまま

 

今春が来て君はきれいになった

去年よりずっときれいになった

 

 

君が去ったホームにのこり

落ちてはとける雪を 見ていた

 

今春が来て君はきれいになった

去年よりずっときれいになった

 

 

この歌は、全編を通して、完全に完璧に歌うのと一致して時が/出来事が流れていきます。それでいながら、それまでの日々の情景も同時に回想されているかのような気持ちにもなっています。

 

その時、なんとも言えない -“傷つく”というのとは異なる- 痛みのような心情が胸に迫っています。

 

主人公の男性の目に映った情景と君を、言葉にしただけでしかないのに伝わってくる気持ちが強くあります。 人生の節目の瞬間です。

 

ここにこの歌の白眉があります。また「き」と“カ行”の多用による言葉の親和性を持たせる韻が効果を発揮し光ってます。気づかないうちに深くこの歌が胸に印象づけられていきます。 

 

実は作品として一番凄いと思っている歌詞です。地味だけれども、実は凄いのです。聴き手、読み手の想像力を育んでくれるのです。純文学の域です。詩作の心得を学べるお手本となる作品です。

 

 

(こぼれ話) 今年のとある私立中学の入試問題の社会で、サザンオールスターズのとある歌詞を切り口に作問した出題がありました。桑田さんの歌詞が“良い教材”と成り得たわけです。

 

 

ちなみに

 

今でこそ普通に俳句の季語としても「名残雪」が登場しています。しかし、この歌で伊勢正三、正やんが「名残の雪」ではなく「なごり雪」と表現し用いたのが最初であったのでした。

 

 

 

このアルバムで宇徳敬子さんもカバーしています。この歌の魅力を最大限引き出したボーカルと特にアレンジが非常に好きです。

 

 

 

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございました。