丸になるように、-不本意ながら-お絵かきで描いた☆のように交差するような時も、そら豆のような形を辿る場合も、

 

…散歩に出る際は出来るだけ同じ道を歩かず家へ着くようにするのが醍醐味。 「さて、そろそろ家に帰ろうか」と、どれくらいから思っていたのか分らない時は尚いい。

 

これは、きっと、幼い頃、父の漕ぐ自転車の後ろに乗せられ初めての景色を見たのが原体験。

 

「ここ、どこ?」

「どこだろね?帰れないかもしれないね」

 

…と返されて不安になる。でも父と一緒だから大丈夫だ、という安堵の予約をしていたような気がする。その父ももうこの世には居ない。

 

小学生になると、父の自転車の後ろについて知らない道を走ってた。行動範囲が広がっていった。 小学校高学年くらいには、ひとりで自転車を転がすようになっていた。 

 

 

大人になって、まとまったお休みを取れる日取りには、夕方、駅へと向かう。 取り敢えず、東京駅を目指す。その時の閃きで在来線に乗る時もあれば新幹線を選択する時もあった。 気分が乗らない時もあり、そういう時は、のこのこ家を目指している。 でも、もやもやして、また、東京駅へ引き返し、旅路への再挑戦を図り、ようやく、家から遠くへ遠くへと離れていく。 

 

日本列島へ範囲が広がっても、心掛けは「円を描くように」。せっかく時間があるわけだから。 鈍行に乗ると「よくもまぁこんな場所に線路を走らせたな」とか「この駅に一体誰が降りるんだ?」という路線を知る。 

 

東日本大震災前で今はもう無い駅がある。

“ムーンライトながら”も無くなるという。

 

東京~上野~柏~北へ北へ仙台~内に入って山形~日本海目指して~新潟~さすがに鈍行はもう満喫したので新幹線で東京へ。

 

青森へ行った時、太平洋側から日本海川へ向かう際、豪雨に見舞われる。 止むのを待って駅で電車が立ち往生する。 一時間ほど待っても一向に止む気配、予報は無く、バスで振替輸送。 冠水した山道を、波のような水しぶきをビュンビュン咲かせホバークラフト状態で走る。無茶苦茶に速度が出ていた記憶がある。

 

旅とは異なるけれども祖父が亡くなった際、仕事を終えてから四国へ。 岡山で一泊。 ホテルを探して夜の街を歩いていた。風俗関係の客引きのおじさんに声をかけられる。「お兄さん、安くしとくよ、いい娘紹介するよ」「すみません、明日、葬儀で四国へ行くんです、宿を探しているところなんで」「…そうかい、それは、大変だね。この先、左手にビジネス・ホテルがあるよ、そこに泊まるといい」

 …今でもこの客引きのおじさんには感謝してる。時々ふと思い出す。 行く先が決まらなかった時、この出来事を思い出し岡山を一気に目指した旅もあった。 

 

琵琶湖を見たときは「こりゃ凄い、海だな」と思った。その日の夜には盛岡で本場の冷麺を食した日もあった。  

*“琵琶湖”と言えば(トンデモ)映画「幻の湖」、稲川(淳二)さんの怪談「最後のダイビング」を思い出します。どなたかついてきて~(笑) 

 

 

夕方に出発するからどこかの駅で立ち止まる。無計画の旅先で思いのほか宿が取れない、時もある。…し敢えて野宿する場所を探す夜もある。 

 

無計画が醍醐味。予定・予約なんてもってのほかが信条・身上・真情・心情。相当歩いて国道沿いへ出てファミレスで過ごす。白河で巡業中のプロレスラー、スティーブ・ウィリアムス他外国人レスラー達がハンバーグを食べているところに遭遇したこともあった。…多分、たぶん殺人医師ウィリアムスでした(笑)

 

 

適当な場所を見つけて野宿したりするのも、若かった頃。それがまだ大事に至らない安心感が世間にあった時代ならでは、と思う。今はもう出来ません。 

 

 

散歩にしても、旅にしても、仕事で疲れたにしても、家に戻ります、帰ります、目指します。意識しない時のほうが多いような気がします。 快適さで言えばそこそこのお金を出して泊まれるホテルに勝れません。 でも家は、単に、寝られる場所であるだけではないようです。

 

 

 

「house と home ってどう違うんですか?」

「たとえば、家を建てるって英語でならどう言う?」

「build a house ?」

でしょ。 今みたいな感じで建造物のイメージがhouse. かな。それに対して home は  -マイ・ホーム・パパって言うのは今の時代は不適切だ!と文句言う人はおいといて…聞いたことないかな?-  まぁ、家族の意味合いを色濃く含有している。 ただし、それだけではなくて、ひとりであっても心の拠り所、安住できる場所っていうイメージでどうかな。 houseが事物を表す名詞で無機物的なのに対して、home は名詞だけではなくて形容詞・副詞・動詞といろいろあって、まぁ、温もりがあるイメージで。…とか説明したけど、勝手な無責任なイメージなので詳しくは辞書を調べてね((´∀`*))

「Be it ever so humble,there's no place like home. ですね!」

「そう、どんなにみすぼらしくても家に勝る場所はなし! …って、この言い回しを知っている君は一体何者なんだよ(笑)」

 

 

 

 

 

この道は どこまで続いてるだろう

少しだけ 疲れているような気分

風の中 心しみじみゆれて

雨にうたれ 胸は痛んでいないか

やさしい心 今日も変わる事はなく

愛する気持 あふれるばかりあって

本当に 好きだったものがある

受けとめる ことのできないものもある

 

家へ帰ろう 家へ帰ろう

この道をまっすぐ 家へ帰ろう

家へ帰ろう 家へ帰ろう

この道をまっすぐ 家へ帰ろう

 

大切なもの 見えなくなってしまいそう

いらないものも わからなくなってくる

あとどれ位 幸福が必要なの

不幸な話 いくつかさねればいい

理由なく涙出てきそうだから

知らぬ間に こぶし握っているから

 

家へ帰ろう 家へ帰ろう

この道をまっすぐ 家へ帰ろう

家へ帰ろう 家へ帰ろう

この道をまっすぐ 家へ帰ろう

 

逢いたい人の 笑顔が呼びかけてくる

思い出達が とまる事なく浮かぶ

今 僕は 何をがまんしてるんだろう

誰のため 心乱してるんだろう

 

家へ帰ろう 家へ帰ろう

この道をまっすぐ 家へ帰ろう

家へ帰ろう 家へ帰ろう

この道をまっすぐ 家へ帰ろう

 

 

家へ帰ろう 

作詞・作曲:吉田拓郎 

2002年