ツアーパンフより

 

拒食症の シャム猫が

ベランダの バジルの葉を噛んでいる

キャットフードの 食べ過ぎだろう

今日で彼女から 電話が10日ない

どうやら俺に マンネリズム

冷蔵庫のビールが きれている

ケチのつきはじめってやつは

こんなことから 起きるものだ

 

ブラインドに ひっかけて

セーターが ほころびた

地下鉄のドアは 俺の前で閉まった

煙草のフィルターに 火をつけた

ピザにタバスコが ビンごとこぼれた

深爪を切った

そのうち俺の頭の上に

ファントムでも落ちてくるにちがいない

 

アンラッキーの隣りで

くすくす笑うラッキー

一発逆転は 深夜の電話

彼女の声 「いま すぐ 会いたい」

そこで考える どうもうますぎる

別れ話かもしれない

いや まてよ

風邪で10日 寝てたってこともある

 

待ち合わせの シングルバー

30分過ぎても 彼女はこない

まばらな客の 眠そうな会話

「秋のパリコレは 期待はずれだった」

「上司のAは セクシャルハラスメント」

「まもなくドルは 急落するだろう」

「車の丸型トレンドは 当分続くらしい」

だから どうした

45分過ぎても 彼女はこない

 

日本人が待たされて 不快になる平均時間

ハンバーガーショップ 1分

喫茶店 5分

レストラン 10分

どこかの新聞に 書いてあったが

バーで女を待っている 男の時間は

どこにも見あたらなかった

 

バーテンが 気の毒そうな顔をあげるのと

椅子ふたつ向こうの 知らない女が

こっちを見るのと同時

もちろん 女の視線を選ぶ

すっぽかされた同士 ワンナイトスタンド

柑橘系のコロンに 誘われて

席を立った時

息をはずませて 彼女が店のドアを開けた

 

Takuro  TOUR '89- '90

 

第1部 バンドスタイル

01  おまえが欲しいだけ

02  パラレル

03  街角

04  サマータイムブルースが聴こえる

05  祭りのあと

06  ひまわり

07  落陽

08  憂鬱な夜の殺し方

09  外は白い雪の夜

10  イメージの詩

11  人間なんて

 

第2部 弾き語り

12  今日までそして明日から

13  旅の宿

14  花嫁になる君に

15  ハイライト

16  高円寺 ~

17  ~リンゴ

 

アンコール

18  言葉

19  抱きたい

20  俺を許してくれ

 

このツアーは '90/01/10 の日本武道館公演が

NHKでテレビ放送されました。

放送されたのは 11  12  16~17  05  10

+ 男達の詩

 

また映像作品(VHS)も発表されました。

収録曲は

01  03  05  06  08  09  11  12  13  14  15  16~17  19  20

 

 

■ 当時のぼくの日記より

ドームより  今日の方がよかった。

  曲の構成とかステージの運び方に、さすが!とか巧さを感じた。

  特に最後の 俺を許してくれ が 無茶苦茶よかった!!

  こんな表現は至極変なんだけど 浜田省吾みたいだった… やっぱ変だ。

  弾き語りは 吉田拓郎の独壇場だった。

  さすが ! としか言いようが無い。

  ハーモニカが巧すぎた!! 見事だった 」

 

 

当時、バイト雑誌の

CMソングとして流れた 人間なんて 

 

女の子たちが きれいな声で

サラリと歌っているアレンジバージョンを

拓郎が聞いて

面白い とか いい曲だな と 思って

新たに詞を書き加えて披露されました。

 

 

 

追加 歌詞

はるかに 叫ぶ声が 届かない理由は何だろうか

愛しているって答えてくれ 旅する人に伝えてくれ

迷ってしまっても ここにいる

遅れてしまっても そこにいる

はぐれる者を忘れないで 行方知らずを見捨てないで

オイラの心はどこに捨てよう

疲れた魂をどこに置こう

昨日の風に預けた夢が

叶わないものなら投げ返してよ

人間なんて ラララ …

かすかに震える声で 人間なんてと叫んでるけど

大きな何かに吸い込まれて

やるせない隙間をうずめられない

何かがどうしても足りないよ

人間なんてと言えないなら

オイラを命がけで殺してよ

人間なんて ラララ … 。

 

 

このツアーで披露された 人間なんて は

CMソングで起用された サラリと歌われたハーモニックなものでも

エレックレコード・オンステージ2集や

TOUR '79 のような 絶叫バージョン でもなく

胸に非常に圧をかける重苦しいヘヴィな演奏で印象的でした。

 

 

落陽 と 祭りのあと は

コンピューターによる打ち込みによるもので

シングルCDで発売されていました。

また

祭りのあと には 間奏で

まにあうかもしれない が歌われるという

粋なものでした。

 

 

ぼくが参戦した1989年というのは、、

そうです

TULIP と オフコース が

揃ってバンド活動に終止符を打った年です。

 

そして

このツアーからしばらく

松尾さんと清水さんは

拓郎のツアーメンバーとして帯同することとなりました。

( 一方、姫野さんは浜田省吾のツアーに帯同して

  シングル盤・ライブバージョンの 「 J . BOY 」 で

  キーボードとコーラスを担当していてハッキシと声を確認できます。

  映像作品の 「ROAD OUT “ MOVIE ” 」にも出演が確認できクレジットされています )

 

 

話題を戻しまして

 

 

俺を許してくれ は

体調不良で続行断念せざるを得なかった

2009年のLIVEで

奇跡の再演をしてくれていて

すさまじく魂消た(たまげた)とともに

むっちゃくちゃ嬉しかった!!!!

 

 

1985年 発表の

「俺が愛した馬鹿」 で

拓郎は

 ごめんよな 恨んでもいいんだぜ

… と歌っていた。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

俺を許してくれ

                                    吉田拓郎

 

夜空に浮かぶ 星に打ち明けよう

この世を去っていく 人々の愛情を

ある時は憎しみで 意識して遠ざける

狂い始めている 歯車にからみつき

家族を 乗り越えたけれど

家族を 乗り越えたけれど

    心が痛い 心がつらい

    心が痛い 心がつらい

 

昨日吹きすさぶ 風に打ち明けよう

俺から 消えて行く 情熱の行く先を

裏切りが見えた時 恋人は泣き叫ぶ

初めてのウソのあと 絶望と結ばれる

人生に つまづいた夜

人生に つまづいた夜

      心が痛い 心がつらい

      心が痛い  心がつらい

      心が痛い  心がつらい

      心が痛い  心がつらい

 

世界中濡らす 雨に打ち明けよう

真実が 時に 不真面目と寝る事を

人間が走り 争いが起こる

美しい夢は 唇で枯れ果てる

現実と立ち向かっても

現実と立ち向かっても

      心が痛い 心がつらい

      心が痛い 心がつらい

 

時に追われている 自分に打ち明けよう

正直の真似をして これ以上 生きられぬ

この命 ただ一度 この心 ただひとつ

俺を許してくれ 俺を許してくれ

人間と 呼ばれているけど

人間と 呼ばれているけど

       心が痛い 心がつらい

       心が痛い 心がつらい

       心が痛い  心がつらい

       心が痛い  心がつらい

       心が痛い  心がつらい

       心が痛い  心がつらい

 

シングルCDにもなっているし

アルバム『 176.5 』にも収められていますが

打ち込みによるレコーディングのものよりも、

この日披露されたバンドスタイルの

迫力・カッコよさは、

映像はもとより

当時、参加した人は

強く強く記憶に刻まれていて欲しいなと

思ってしまいます。

 

 

70~80年代にデビューした歌い手たちが作る(創る) 詞(詩)世界は、

嫌味とならず 努力臭さも感じさせぬまま

もう 天性 とか 感性とか 自分の生き方そのままで、

ー 本当は、もしかしたら、、

狙っているのかもしれないけれども ー

意図を感じさせないくらいにさりげなく

引き込ませる

表現技巧 が 零れ出ていて

本当に 尊敬してしまう次第です。

心から 憧れてしまいます。

ズドンと胸に刻まれるんですよね、本当に。

 

 

ここまで

お付き合いくださいまして

誠にありがとうございました。