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Upside-down
1,851円
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チューリップ通算9作目のオリジナル・アルバムです。
タイトル・チューン「 Upside-down 」とは、
“ 逆さま ” という意味です。
それに呼応するように
ジャケット写真は、
5本のウイスキーの瓶が
逆さまに立てられています。
ラベルをよく見ると
メンバー5人の顔が印刷されています。
遊び心がうかがえます。
このアルバムのリリースから
およそ1ヶ月後の10月20日には、
「 約束 / 恋のドラキュラ 」 が
アレンジを変えて歌い直して
シングル・カットされました。
うまいことお伝えできないのが
もどかしく申し訳ないのですが、、、
それまでのアルバム
『魔法の黄色い靴』 『君のために生まれかわろう』 は、甘さ控えめの紅茶。
『 TAKE OFF - 離陸 』 『ぼくがつくった愛のうた』 は、リンゴジュースかオレンジジュースかグレープジュース。
『無限軌道』 『日本』 『MELODY』 『WELCOME TO MY HOUSE』 は、ビールと裂きイカ 、 日本酒に焼き鳥 、お茶とおせんべ、…といった感じ。
※『MELODY』には吉田さん作品の「もう一杯のウヰスキー」という楽曲がありますが…(汗)
そして今作 『Upside - down』 は、ジャケット写真にあるようにウイスキーのような味わいです。
その時期その時期によってバラエティに富んでいて、聴き比べると印象・感動の違いがあるということです。
※ちなみに、この次にリリースされるオリジナル・メンバー最後の作品となった『 Someday Somewhere 』。ライナーノーツには、チューリップの作る音楽作品は、最終的に好まれる飲み物としての「水」に例えて書かれています。( BIN TERAMUR氏による) ぼくも『 Someday Somewhere 』は「水」だと思います。
◇
恋人の心変わりに戸惑いを隠せない心情を
哀愁溢れるメロディにのせてうたった佳曲
「心の糸」。
「恋のドラキュラ」。
この2曲、大好きです。
※「恋のドラキュラ」は45th “ it remembers ” の
生ギター・コーナーで披露されました。
♪悲しいけれど恋の手管(てくだ)は この俺には
使えないのさ 好きになったら 本気になったら
♪久し振りなんだ 涙うかべるなんてのは
鏡のなかの俺の顔が歪んで崩れていったよ
「心の糸」より
たった2文字( 2音 ) なんですが、「ぼく」ではなく“俺 (おれ)”といっているチューリップの楽曲は、異質な感じ、曲全体の印象深さを増す効果を発揮します。
「心の糸」はアルバム1曲目で、ともすると正体がなかなか掴めなかった違和感、この仕掛けに見事に嵌(はま)ってどっぷり惹(ひ)きつけられていました。
※「千鳥橋渋滞」や「せめて最終電車まで」「あこがれ・花の東京」、「タイプライター」や「かけおちのすすめ」「淋しくて淋しくて」、「たった一度のドライバー」など…“俺”が主人公の歌は、勿論以前にも結構あります。それらは、なにか特別な感じを醸し出します。きっと、ライブで「俺曲」が演奏されることが近年珍しいからです。聴き慣れていないわけです。「俺」という言葉に。だから聴くと 「お!」と思ってしまうという…。
ある作品世界では、“俺”じゃなきゃ駄目な作りで、その言い回しが好きです。あ!宮城さんの「VOLUME・10」も♪オレを振り切って ドアを開けた…とあって、やっぱり新鮮に響きます。。
コンサートにおける生ギター・コーナーでは、定番中の定番、財津さんお気に入りの「逆回転」。※この「逆回転」も“ it remembers ”ツアー後半ではセットリストに入り演奏されました。
作詞:上田さん・作曲:安部さん・ボーカル:姫野さんによる良質・上質のポップソング
「 あなたへのパスポート」。
吉田さんもボーカルを取った
「エンゼルになろうとした男」。
シングル「ブルースカイ」とは趣きを変えてじっとり・静かに聴かせる「青空-アオゾラ」。
さらっと “ 私を殺してほしい” と、強烈な歌詞を最後に繰り返しつぶやきます。
一度聴いたら耳にズドンと残るタイトル・チューン「 Upside-down 」。カッコいいです、凄い曲です。
アルバムの最後を飾る珠玉のバラード「約束」。
(丹野さんが大好きな曲)
アルバムトップの「心の糸」のちょっと粗野な主人公のスタートから、最後の「約束」の美しい終末は各々ドラマティックで、一枚のレコードとして見事という他ありません。
ストリングが鮮やかに響くシングル・バージョン
ここまでお付き合いくださいまして
本当にありがとうございます。
財津さんの快復、復活を心より祈っています。